テリー ここで片桐さんの経歴を振り返りたいんですが。まず、東映のニューフェイス出身なんですよね。
片桐 ええ、13期です。でも、正式な扱いでもないみたいで、何かあやふやな感じなんですけど(笑)。
テリー 何歳くらいの頃ですか?
片桐 21歳の時です。大阪ガスでサラリーマンをしていましたから、よく会社を休んでは京都撮影所まで撮影に行ったりしてね、大変でしたよ。
テリー えっ、会社は辞めずに二足のわらじで?
片桐 もちろん辞めようと思ったんですけど、しばらくはそんな感じで。まあ、何とかなっちゃったんですよ(笑)。
テリー いい時代ですねェ(笑)。それは大阪ガスの給料がよかったから?
片桐 そうです。それに、東映も社員俳優なので固定給で、当時1万3000円ぐらいあったものですから。
テリー 社員俳優って何ですか?
片桐 要するに「俳優課」という部署に所属して、振られた役を演じるんです。
テリー それ、エキストラとは違うんですか。
片桐 エキストラは日当だけですけど、社員俳優は月給プラス日当なわけです。
テリー へえー、当時はそういう人がいっぱいいたんですね?
片桐 俺が入った頃は200~300人ぐらいですかね。川谷(拓三)さん、志賀(勝)さん、みんなそうですよ。
テリー ああ、片桐さんが所属していた「ピラニア軍団」の仲間たちが。
片桐 そうです。で、基本エキストラだけど、たまに「A」「B」みたいな役がつく時があって、そうすると夜飲んでる時に、酔った志賀さんが「何でお前がAで、俺がBなんだ!」って怒ったりするんですよ。でも名前もないし、もちろんセリフもないんですから、AでもBでも同じなんですけどね(笑)。
テリー いいですね、低レベルの戦い(笑)。「ピラニア軍団」っていうのは、そういうやり取りがキッカケで、できたんですか?
片桐 だいたい「何かやろう」って言いだすのは、志賀さんです(笑)。最初は志賀さん、川谷さんとか、いつも飲んでいる4、5人のメンバーがいたんですが、悪酔いするから忘年会に呼んでもらえないんですよ。「じゃあ俺たちだけで忘年会をやろう」ということになって、志賀さんが「ピラニア会」って名付けたんです。
テリー ハハハハ、最初は忘年会の名前だったんだ。
片桐 そうなんです。その後、「仁義なき戦い」の撮影が始まった時に深作(欣二)さんが来てから「ピラニア軍団」になり、室田(日出男)さんが来たり、「新仁義なき戦い」ぐらいから小林(稔侍)さんが来たりして、最終的に20人ぐらいになったんです。
テリー 川谷さんや室田さんが「前略おふくろ様」に出演されてブレイクしていって、世間の注目度も高まりましたよね。
片桐 まあ、俺なんかはいちばん若手で下っ端でしたから「ああ、こういうもんか」と思って、見ていただけでしたけどね。
テリー 他では、どんな人と親しかったんですか。
片桐 (菅原)文太さん、松方さん、梅宮(辰夫)さん、渡瀬(恒彦)さん、(山城)新伍さんあたりにはよく飲みに連れていってもらいました。
テリー 僕は松方さんの現場にしか行ったことないですけど、松方さん、本当にきっぷのいい方ですね。
片桐 ええ、あまりにきっぷがよすぎて「お金、全然残ってないよ」って言ってますけどね。あんなに稼いでいたのにねェ(笑)。