米倉涼子の「ドクターX」だけじゃない。石原さとみがド派手な衣装で「校閲ガール」を熱演すれば、新垣結衣はキュートな「恋ダンス」で男心をわしづかみにする。「潰しあい」の様相を帯びてきた秋ドラマの舞台裏を現役テレビマンがクビを覚悟で語り尽くした。校閲厳禁のトークは地味にヤバイ!
A(民放編成マン) 秋のドラマは「ドクターX」(テレビ朝日系)が20%超えを連発して、まさに一人勝ちの様相だ。米倉涼子サマサマだよ。
B(民放プロデューサー) そのあおりを食ったのがフジテレビだ。「ドクターX」が初回の放送枠を9分拡大した結果、22時ちょうどスタートの「Chef~三ツ星の給食」(フジテレビ系)がモロに影響を受けて8%と初っ端からつまずいた。
C(フリーディレクター)かつて「BOSS」(09年、フジ系)で20%超えをマークした天海祐希も、米倉の看板ドラマには勝てなかったというわけか。
B 連ドラは1回目の放送が肝だからね。それをわかっていて、時間帯をダブらせたんだから、テレ朝の“フジ潰し”という見方が強い。“魔の9分間”で米倉と天海は明暗がくっきり分かれた形だ。
C それでも天海は決して腐ることなく、栄養ドリンクを大量に差し入れするなどして現場を鼓舞しているそうだ。しかし、あの天海でさえ数字が取れないとなると、人気女優のフジ離れはますます加速しそうだ。
A フジといえば、「月9」の「カインとアベル」。ジャニーズの若手、山田涼介を主演に起用して初回8.8%と「月9」史上最低の数字を更新した。
B 倉科カナがヒロイン役を務めているけど、当初は戸田恵梨香がキャスティングされる予定だった。月9を蹴った本当の理由は定かではないが、戸田にしてみれば「出なくてよかった」というのが本音だろうね。
A 月9低迷は単にドラマのよしあしだけが原因ではないようだ。かつて20代の女性から絶大な支持を集めた伝統の枠を追い込んだのが、あの酒場ライターの吉田類だと言われている。
C ああ、裏でやってる「吉田類の酒場放浪記」(BS-TBS、月曜21時~)ね。確かに、数年前からOLの間で吉田類ブームがジワジワきているらしい。
B 小栗旬が吉田類を“先生”と呼んで、「酒場放浪記」への出演を熱望していたのは有名な話だけど、2軒3軒とハシゴして最後にはロレツが回らなくなる酔っ払いぶりは、ヘタなドラマよりも人間味がある(笑)。
A 新橋のガード下で若い女性客が「ここは類先生がさ~」なんて酒場話に花を咲かせているよ。吉田類といえば昨年放送された「下町ロケット」(TBS系)の最終回で役者デビューを果たして、ファンから大喝采を浴びた。ヘタなジャニタレよりも数字を持ってると評判だ。
B 作り手から見てもジャニーズは何かと面倒くさいからね。来年1月にスタートするTBSの木村拓哉主演ドラマでも、共演女優がなかなか決まらなかった。結局、無難なところで竹内結子に落ち着いたようだけど、キムタクの役どころが腕利きの外科医となれば、どこかで見たような“既視感”は拭えない(苦笑)。
A ジャニーズと共演しても、数字が取れればジャニーズのおかげ、取れなければ相手(女優)が悪いとバッシングされる。7月クールの「せいせいするほど、愛してる」(TBS系)は平均視聴率が8%にも届かず、大して話題にもならなかったけど、滝沢秀明の相手役を務めた武井咲が業界で戦犯扱いされていたのがかわいそうだった。
C ドラマがコケたのは武井の不人気と演技力のなさと言われているけど、どう見ても滝沢がうまくリードできていなかった。舞台ばかりやっているから演技は大ざっぱで、ラブシーンはかなりぎこちなかった。キスシーンの撮影にしても、現場スタッフの間では「初めてかよ」と失笑が漏れたとか。