NHKの朝ドラ「まれ」に出演した俳優・高畑裕太が前橋市のビジネスホテルの女性従業員に対する暴行の容疑で、16年8月23日逮捕された。後に示談で告訴は取り下げられたが、彼の母はテレビで活躍する青年座の看板女優・高畑淳子で、裕太は彼女の仕込みでテレビ番組に入れ込まれていた“親の七光り”俳優として有名だった。
同じような事件が約半世紀前にもあった。
歌って、演技もこなせる俳優として強烈な存在感を放っていた荒木一郎。彼の母も文学座の看板女優で舞台や映画で活躍しており、一郎は“親の七光り”で文学座デビューしている。
荒木一郎(25)が強制わいせつ致傷で逮捕されたのは69年2月7日。アサヒ芸能では、その夜、さっそく母・荒木道子さんの自宅を訪れ、インタビューに応じてもらった。
〈「なんということをしてくれたのかと思うと、もう腹立たしくて腹立たしくて……」〉(アサヒ芸能1969年2月20日号より〉
荒木は最初、被害女性に会った事実は認めたものの、イタズラについては否認したまま、薄暗い留置場の中で黒いサングラスなどかけていたらしい。しかし、医師の診断書に「左頚部、左肩、両大腿部に5日間の打撲傷」とあるため、逮捕後ほどなくして全面自供した。荒木を取り調べた町田署・田代次長によると、
「六本木の荒木が主催する会社の関連ビルに連れ込み、カメラテストと称してパンティ1枚の姿を撮った。演技指導などと言っているが、パンティの下に手を差し入れ、いじくり回したりする必要があるんだろうかね。女の子も、あんまり変なことするので逃げ出したと言っている」
彼女が逃げ出したため、荒木の男性自身が挿入されていなかったのが、せめてもの救いである。