チーム内外は激震しているが、一方で、落合氏自身はすでに、「逆襲」の機会を狙ってシフトチェンジしたとも言われる。中日の一部関係者は「表面上すんなりと退任をした態度が不気味。『次』が決まっているのではないか。どんな反撃を用意しているのか」と今後の動きに疑心暗鬼、戦々恐々としているのだ。
「ズバリ、逆襲を仕掛けるとすれば、他球団で監督として中日にしっぺ返しをすることです。昭和28年会の仲間である梨田昌孝監督(63)が楽天でユニホームを着ていますし、年齢的にも不安はありません。そもそも、中日でGMのあとには再び監督をやりたい野望があったわけで、現場復帰への意欲は失っていない」(スポーツライター)
中日監督時代には8年間でBクラス転落は一度もなく、リーグ優勝4度。投手力とセンターラインを軸にしたディフェンシブな野球には抜群の安定感があった。GMでは失敗したが、「勝てる監督なら落合」という球界内の評価は今なお健在である。球界OBが明かす。
「過去に『落合監督』の擁立に動いたのはDeNA、西武、オリックス。DeNAは落合氏が中日監督を退任した際、その懐刀だったスコアラーを受け入れ、落合氏を監督として迎え入れる態勢を整えたことがあります。西武も落合氏の監督就任を見据えた身辺調査に乗り出した経験がある。だが、最有力はオリックスでしょう。岡田彰布監督が途中休養した12年に当時、『浪人』だった落合氏と水面下で接触している。宮内義彦オーナー(81)が、落合氏の監督としての手腕にぞっこんなんです。当時の落合氏は中日復帰への意欲があり、体調にも不安があったため実現しませんでしたが、福良淳一監督(56)はあくまでも、田口壮二軍監督(47)へとつなぐ暫定政権。宮内オーナーが『落合さんに勝てるチームを作ってもらってから田口へつなげ』と号令を出せば、フロントは直ちに落合氏擁立に動く。球団内からは、宮内オーナーの動きを見て、そんな声が出ています」
96年以来、優勝から遠ざかり、この10年間でAクラスはわずか2度。最下位は4度を数えている。昨年も6位に沈んだオリックスにしてみれば、「優勝請負人」の落合氏に指揮を委ねることが最善の再建策になるかもしれない、と踏んでいるのだ。
落合氏にしてみても、落ちるところまで落ちたオリックスを率いることは、名誉と評価を回復するには絶好の機会で、失敗のリスクは少ない。しかもフロントが弱いため、実質的なGM兼任の全権監督としての契約をもぎ取ることも可能なのである。前出・スポーツライターは、落合氏の「動き」にも言及する。
「人づきあいの不器用な落合氏は、監督になるための『営業活動』は不得手。そうした交渉も含め、逆襲へのキーマンは、信子夫人(72)でしょう。すでに、1回数百万円と言われ、貴重な『発信源』となる講演活動をスケジューリングしていますよ」
「逆襲」ののろしは、今オフにも上がる──。