常勝軍団ジャイアンツの記録的な連敗という、とんでもない異変が起きた交流戦の裏側で、あの“オレ流”が再び表舞台に現れた。予定時間を大幅に超過し、180分にも及んだ「独演会」で激白されたのは、追いやられた古巣への恨み節か、はたまた球界を揺るがす毒舌か‥‥。
去る6月6日、横浜市にある神奈川県民ホールで「オレ流野球の真実、名将が明かす采配の全て」と題する講演会が開催された。主役はもちろん、前中日ドラゴンズGMの落合博満氏(63)である。
13年10月に球団初のGM職に就いた落合氏。3シーズンにわたりチーム編成のトップとして君臨していたが、今年1月に契約を満了。以後は指導者にも解説者にもならず、プロ野球界から距離を置いている。
週刊アサヒ芸能では以前にも、GM退任後初講演での“ぶっちゃけトーク”を取り上げたが(2017年3月23日号掲載)、めったに公の場に出なくなった落合氏の肉声を拾うべく、再び現場に急行。退任から5ヵ月、注目の講演会でまず話題に上がったのは、6月3日の楽天戦で2000安打を達成した荒木雅博(39)のことだった。
「打った荒木よりも俺がいちばん喜んでるんじゃないか。実は『荒木は2000本打つ前に辞めてしまうんじゃないか』と心配していた時期もあった」
そう切り出し、まな弟子の偉業をたたえる落合氏。2人の絆の強さを、中日番記者が証言する。
「監督時代の落合さんは常々、『荒木は自分の野球にいちばん重要な選手』と公言し、荒木もそんな落合さんに全幅の信頼と尊敬を寄せていた。15年オフに中畑さんが辞めたあと、横浜DeNAの次期監督に落合さんの名前があがりましたが、荒木は『落合さんが行くなら自分も横浜に行きます』と親しい記者たちに打ち明けていたほどです」
タイムリーかつ喜ばしいテーマに、落合氏の舌も滑らかに。次々と師弟秘話が口をついて出る。
「順番を付けるとすれば、荒木、井端弘和、森野将彦。この3人だけですよ、本当に練習したのは。まあ、荒木と井端は甲乙つけがたい。ただ、どっちが手を抜かなかったかというと、荒木のほうですね」
それを象徴するエピソードが、沖縄キャンプで課した「地獄のノック」だった。壇上の落合氏が続ける。
「ノックというのは横に飛ばせちゃいけない。捕れるか捕れないか、足で追いかけたら何とか捕れるというところに打たないと彼らの練習にはならない。どうするか。簡単ですよ、正面にゆるいゴロを打って捕りにこさせるだけでいい。荒木も井端も『1時間までは覚えてます。でも、それからあとはどうやって動いたかわかりません』って言ってた。そりゃ、うまくならないわけがないよね。森野なんか死ぬんじゃないかと思ったよ。ヨダレたらして、ベロを口の外に出して。俺にバケツで水ぶっかけられたのを知らないって言うんだから。あとから聞いたら、毎日グラウンドに来る前に病院寄って、点滴を打って乗り切ったらしい」