とはいえ、実は両者の政策の違いは非常に見つけにくい。「維新八策」の柱の一つに、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加がある。進次郎氏は「若い人に門戸を開く」として、TPP参加に前向きな発言をしている。
また、橋下氏が掲げる脱原発依存。これに関しても、進次郎氏は11年6月に関西学院大学での講演で「将来的には」と長い時間軸で推し進めることを容認しているのだ。
前出・鈴木氏はこう話す。
「特に、進次郎氏は自身が認めるように、研鑽を積んでいる時期ですから、国家観というような全体像を示すような政策を話すことはありません。ですから、各論で似ているのですが、橋下氏と決定的に違うのは根本的な考え方。橋下氏は永田町の外から『破壊者』として政策を打ち出しているが、進次郎氏は『自民党の哲学と自分の哲学が一致する』と話しているように、これから打ち出すであろう政策は自民党の域を超えないことになるでしょう」
ある政治部デスクがあとを引き取ってこう話す。
「例えば、維新の会が最も重要視しているのは、『道州制』です。地方に権限や財源を移譲させて、中央政府は安全保障や財政など小さな政府にしようというものですが、ここまでなら自民党にも同じ考え方をする議員がいる。しかし、橋下氏が言う消費税の全額地方税化となると、財務省が簡単には認めない。自民党の中には財務省の族議員がいて、党内はまとまりません。進次郎氏には言いだせない政策です。また、橋下氏が言う首相公選制は憲法改正が必要で、憲法改正は自民党の悲願でもあるわけですが、その改正草案には天皇を国家元首とするとある。首相公選制となれば首相が元首になってしまう。自民党の中では考えられない政策というわけです」
橋下氏の「統治機構を変える」という意気込みは伝わってくる。政策の面では橋下氏が上なのか。
政治評論家の有馬晴海氏はこう話す。
「実現できるかは別にして、橋下氏が発表した『維新八策』改訂版は画期的な内容です。ただ、議員定数半減など耳障りのいい政策ばかり言うことを危険視するとともに、本当に国民生活がよくなる政策なのかも疑問視されるところです」
解散の時期も不透明とはいえ、すっかり乱世の永田町。進次郎氏と橋下氏がぶつかり合う日もそう遠くないのかもしれない。