大谷の強行出場に関しては、やはり栗山監督の意向が強く働いていたという。
「大谷がWBC出場を辞退することになった直後、栗山監督は、吉村浩GM、福島芳宏チーフトレーナーと三者会談を行っています。それだけに、大谷の打者専念出場は球団としての総意とも言えるのですが、聞くところでは、この場で栗山監督が『翔平は人がやらないことをやろうとしている選手。だから今回のケガも出場しながら治していけると信じているし、本人もそれを強く望んでいます』と強硬に主張して、GMらを説き伏せたと。本人も望んでいるといいますが、大谷は人一倍責任感が強いですから、聞かれたら『できない』なんて返さないでしょう」(球団関係者)
公式にも認めてはいるが、みずからの判断ミスによって大谷が悪夢の「スピード離脱」に追い込まれ、栗山監督の求心力はグングンと低下。緊急三者会議で強行出場プランを強引に納得させられた吉村GMも、栗山監督に対して疑心暗鬼になっているという。
「開幕から不調のチームがV逸どころかBクラス転落なんてことになれば、大谷の一件も含めて、栗山監督が責任を取らされる形で今季終了後に解任へと追い込まれる可能性は十分にあります」(球界関係者)
昨季チームを10年ぶりの日本一に導いた功労者・栗山監督といえど、大谷に“人災”を呼び込んでしまったことは致命的と言えそうだ。
一方で、日本ハムのフロントが今回の大谷負傷によって最も神経をとがらせていることがある。当然ながら今オフにも濃厚と見られている大谷の米メジャーリーグ移籍だ。昨オフの契約更改時に大谷に対して移籍を事実上容認したことで、二刀流が海を渡る可能性は高まりつつある。ところが右足首どころか左太腿にまで爆弾を抱え込んでしまったことで、今オフのメジャー移籍に暗雲が垂れこめだした。実際に大谷を長い間、密着マークしていた某メジャーリーグ球団の日本人スカウトは、次のように打ち明けている。
「大谷は二刀流という他の選手よりもハードな練習とプレーをプロでずっと続けている。故障リスクも単純に見積もって誰よりも高い。そこで左のハムストリング(太腿裏)と右足首、下半身の2カ所にいつまた暴発してもおかしくないケガを負った。これはメジャーに行くうえで明らかなマイナスポイントだ。手を引く球団も出てくるだろう。メジャーは日本人が考えている以上にシビア。ここまでこだわってきた『二刀流』も、移籍するうえで大きな足かせになってしまう点は否めず、たとえ移籍できても米国で二刀流を続けることは非常に難しいだろう」