確かに江川氏であれば、スポンサーを集められるビッグネームではある。とはいえ、山本氏の起用に慎重論が出たのは、「現場から7年も遠ざかっている」という不安からだ。一方の江川氏は、監督はおろか、これまでコーチ経験すら皆無である。
「それはあくまで表向きの理由です。山本氏では力不足という判断は別次元の話。落合氏や現日本ハムの栗山監督など、コーチ経験もないままに監督1年目から好結果を出すケースが増えていますから、頭脳派の江川氏にいきなり監督待望論が出ても何ら不思議ではない」(スポーツライター)
ただし、これまで江川氏は指導者就任の打診を受けながら断り続けてきた、と言われている。本人にその気がなければ、どうしようもないだろう。
ところが、国際大会なら話は変わってくるようだ。
コトはアテネ五輪で巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(76)が代表を率いた04年に遡る。
「実は、長嶋監督が江川氏にコーチ要請をしています。その際、『お前が監督しかやらない(考えな)のは知ってるけど、ジャパンならいいだろう? 俺の下ならいいだろう? お前の将来のためになるぞ』と熱心に誘ったそうです」(前出・スポーツライター)
長嶋監督サイドとしては“ダメもと”でのオファーであり、江川氏がすぐ断りを入れてきてもしかたないものだと考えていた。ところが、江川氏は、「考えます」と受諾の余地を残したというのである。
「江川氏には長年、莫大な借金があると報じられてきました。これまで指導者にならなかったのは、借金を返すには、テレビで稼ぐほうが効率がよいからだった。しかし、代表チームならば期間限定のうえ、その肩書でハクが付けばさらなる収入増も見込める。だから当時、最終的には断ったものの1度は考えたのでしょう。しかも現在は、借金はなくなったと言われる一方、テレビでの露出、稼ぎは減っている状況。しがらみが減り、タイミングとしてはバッチリなんです」(前出・スポーツライター)