阪神移籍2年目の04年7月29日、金本は中日戦で左手首に死球を受け、軟骨を剝離骨折。だが翌日の巨人戦に登場し、観客を驚かせた。しかも右手1本でフルスイングし、2安打を放つ鉄人伝説を作ったのだ。同じく仰天の鉄人ぶりを見せた試合を、阪神担当C記者が振り返る。
「08年5月7日の巨人戦。金本は頭に死球を受け、その場に倒れ込みました。普通は大事を取って交代させるのですが、金本はそれを拒んだ。連続試合フルイニング出場記録を更新中でしたからね。『大丈夫や、大丈夫や』と言う金本に困ったのはトレーナー。何かあったら大変ですから。しかも次の打席で本塁打。トレーナーにしてみれば、これまでの常識が通用せんうえに、自分らの仕事が全否定されて苦笑いしてました」
この常人離れした男と「迷コンビ」を組むのが、あとを追うように07年オフにFA移籍してきた「弟」新井だった。阪神担当D記者が言う。
「いたずらはよくやりますね。例えば下柳に、『新井があんなピッチングしとったらアカンわ言うとったで』と吹き込む。実際には(新井は)そんなこと言ってないですよ。報道陣にも『新井さんが明日、本塁打3本打つ言うとったで』『今年は1試合も休まずにフル出場します』とか。新井はそれをあとで知って慌てるんです(笑)」
そんな師弟関係を当初は楽しんでいた新井だが、
「最近はイジられすぎてノイローゼ気味に。『新井さんがここで打ってくれてたら‥‥』とか言われ続け、真面目すぎる性格が災いしてか、今季はそれが原因で不振に陥ったと思っている。だから新井のほうからは、積極的に金本に近づかないようにしているみたいです」(前出・D記者)
ところで、金本が阪神に来てから急接近した人物がいる。阪神担当E記者が明かす。
「島田紳助(56)です。いちばん仲のいい芸能人で、2番目が極楽とんぼの山本圭一(44)。2人とも芸能界から失脚してしまいましたが、紳助とは一緒に飲み歩き、財テク指南も受けていました。例のファンドを紹介したのが紳助というわけではなさそうですけど」
「例のファンド」とは、昨年8月に発覚した金本が恐喝罪で警視庁に刑事告訴されていた事件に絡むもの。07年に共同出資でファンドを立ち上げた投資会社社長に対し、出資した1億3000万円を「貸した金だから返せ」と迫って監禁したうえ、ヤクザ組織の名前を出して脅したとされる。E記者が続けて言う。
「ふだんから携帯電話で株価チャートを確認するなど利殖に余念がありませんでしたが、リーマン・ショックで5億円ほど損をしてカネに困っていたと聞いています。だから来季も現役を続けるつもりでしたが、球団社長との面談で引退を勧告されてしまった。スポーツ紙数紙が引退後の専属評論家としての契約を打診する予定ですが、年俸はせいぜい1000万円前後です」
このファンド事件を含め、グラウンド外のことに関してはタブーがあった。金本は担当記者たちに「家族の取材は絶対にダメや。自宅には来るな」と通告し、プライベート情報が漏れないよう警戒していたのだ。
「実は奥さんとは離婚し、便宜上、同じマンションで別々の部屋に住んでいるそうです。娘が成人するまでは近くに住むという取り決めで」(前出・C記者)
金銭問題もタブーな私生活問題も、ここ数年の右肩の故障の苦しみを思えば、鉄人なら乗り切るのではないだろうか、きっと。