東京の将棋会館にある将棋ショップは、今も客足が絶えない。
「藤井四段の公式グッズである扇子は材料の竹がなかなか確保できず、入荷待ちの状態。第2弾のクリアファイルに続く第3弾のジグソーパズルも即完売で再入荷の予定は未定です。連盟が発行する月刊誌『将棋世界』は、同店では実際の発売日よりも2、3日前に店頭に並ぶのですが、藤井四段が表紙の最新号は、すぐに売り切れてしまいました」(将棋連盟職員)
将棋会館の周囲では、“勝負メシ”の注文の行方にも世間の関心が集まった。創業以来35年、棋士に出前を届けるそば屋「みろく庵」は、藤井が勝負どころで出前を頼んだため、“聖地巡礼”の客でごった返したという。同店の店員が語る。
「すごかったのは、7月2日の30戦目。店内は40席ですが、お昼だけで500人はいらっしゃって‥‥」
やはり一番人気は藤井が注文したメニュー。その日、藤井が頼んだ昼食は「冷やし中華大盛」だった。
「ふだんは日に10食も出ないんですけど、その日は50食以上。それ以上に人気なのは29勝目の対局で食べた『豚キムチうどん』でしたね」(前出・みろく庵の店員)
ブームの意外な恩恵を受けたのが、外食チェーンの「餃子の王将」だ。店員が証言する。
「どうやら『将棋=王将=餃子の王将でゲン担ぎ!』というシャレらしく、藤井さんの対局がある日はランチタイムのお客様が3割~4割増し。餃子の持ち帰りも激増してパニック状態でてんやわんやです」
ところ変わって大阪へ。通天閣の下には、明治から昭和にかけて活躍した大名人・阪田三吉をしのぶ「王将碑」が建立されていたが、今は姿を消しているという。
「『藤井くん効果で観光客が増えるんちゃうか』言うて、汚れてたのを修理に出したって聞いたで」(周辺住民)
そこから少し離れた書店には、大阪での将棋人気を裏付けるように、“藤井コーナー”が特設されていた。
「『史上最年少棋士 藤井聡太の本棚』と題して関連本を置きました。藤井さんと同年代の子供たちが将棋の教本を買って帰るなど、非常に好評でした」(「ジュンク堂書店難波店」担当者)
競技人口も多い大阪では、町なかの「将棋クラブ」が交流の場となっている。ミナミ界隈のあるクラブでは、藤井四段にそっくりのナンパ師が出現して話題をさらっていた。
「将棋に興味を持った女子が店に殺到する中、『教えてあげますよ』という誘い文句でまんまとナンパを成功させていました。かなりの童顔で、実際の年齢は30歳前。将棋の腕前? 強くはないですね」(常連客)
ナンパ師もあやかるフジイノミクス。日本経済にとっても「僥倖」となるか。