47都道府県のうち、夏の甲子園で予選を勝ち抜いた代表校の優勝回数が最も多いのは大阪府だ。昨年までで計12回。2位の愛知県が8回だから、余裕の1位といえよう。
その大阪の最初の優勝は戦後最初に開かれた46年第28回大会。浪華商(現・大体大浪商)の栄冠からその歴史が始まった。同校は校名を浪商に変更後の61年にも優勝。60年代には63年に明星が、68年に興国が優勝している。
70年代後半から80年代後半の10年間はPL学園の黄金期。78年、83年、85年、87年と10年間で実に4度の全国制覇を果たした。さらに現在の高校野球界をリードしている大阪桐蔭。その初優勝は91年だった。ここから17年間、大阪勢の優勝が途絶えてしまうが、08年に大阪桐蔭が2度目の優勝を果たす。その後も12年、14年と優勝し、大阪勢の夏の優勝回数としてはPL学園と並ぶ4回を誇っている。
2位の愛知県の初優勝は1917年の愛知一中(現・旭丘)だが、残りの7回はすべて現在の中京大中京である。その中には史上唯一の3連覇が含まれているが、同校の優勝7回はチームとしては夏の甲子園単独最多記録。同時に決勝戦7戦7勝という不敗記録でもある。
優勝7回でこれに続くのは和歌山県、広島県、神奈川県、兵庫県の4県。和歌山県は戦前に和歌山中(現・桐蔭)と海草中(現・向陽)がそれぞれ2連覇を達成。戦後も79年に箕島が史上3校目の春夏連覇を成し遂げた。平成に入ると智弁和歌山が97年と00年の2度、全国制覇を果たしている。広島県の優勝は7回のうち34年は呉港中(現・呉港)。あとの6回を古豪・広島商がマークしている。この6回優勝は中京大中京に次ぐ史上2位の記録となっている。神奈川県は湘南、法政二、桐蔭学園が各1回、東海大相模と横浜が各2回ずつ優勝しての計7回となっている。
先の3県同様に兵庫県も7回優勝しているが、その3県と違う点がある。それは優勝校がすべてバラバラなのだ。19年は神戸一中(現・神戸)、20年は関西学院中(現・関西学院)、23年は甲陽中(現・甲陽学院)、’52年は芦屋、77年は東洋大姫路、81年は報徳学園、そして93年が育英。優勝回数では大阪府が1位だが、優勝校の輩出数では兵庫県に軍配が上がるというワケだ。
(高校野球評論家・上杉純也)