静岡合宿2日目には、Fリーグ最高執行責任者補佐の北澤豪氏(44)が視察に訪れた。元日本代表の盟友であり、98年仏W杯ではカズとともに最終メンバーから外れたことも‥‥。前出・民放記者が話す。
「第1回フットサルW杯メンバーだった北澤氏は、ことフットサル界においては先輩格。ところが、『アドバイスはするつもりですが、聞いてくれないです』と苦笑いしてました。カズは招集決定後に、『(サッカーとフットサルは)競技が違う』と語っていたが、北澤氏には『サッカーと一緒だよ』と自説を強調していたそうです。どっちもしっかりと守ってシュートを決めればいいというカズ流の解釈みたい(笑)」
一方で、北澤氏が「こんなに守備をするとは」と驚くように、狭いコートに1歩足を踏み入れれば、直感的に守備意識が高まる。カズの言葉を借りれば、「局地戦の連続」だ。第1次愛知合宿のミニゲーム形式の練習で戸惑っていたことがウソのような動きだった。
「カズのコンディションのよさは日頃からの徹底した自己管理にある。森岡も『カズさんは早い時には19〜20時には寝ている。プロ意識は見習いたい』と話していたほど。食事の量と時間を管理してグッドシェイプしているのは、奇跡に近い」(スポーツライター)
そんなカズの徹底した自己管理とシンプルな思考は、キングの逸話からもうかがい知れる。サッカーライターの渡辺達也氏が意外な一面を明かす。
「かつて、カズがスタンドから観戦している時、(両チームの)フォーメーションを記者に聞いていたぐらいです。カズは『オレ、サッカー知らないよ』と真顔で話してましたが、システムにまったく興味がない(笑)」
どうやらカズの中には「将来は指導者」という選択肢はないようだ。
一部報道では、早くも横浜FCとの再契約も伝えられている。前出・渡辺氏が続ける。
「カズが40代を目前にし、引退説が聞こえ始めた頃、将来についてストレートに聞いたことがあります。カズは『(チームから)金をもらってもいらないと断られる時かな』と話してました。そのあと、『地域リーグでもいい』と付け足したことを覚えています」
J1、J2、JFLに続く4段階目のカテゴリーだけに、“プロ契約”は現実的ではないが、キング・カズなら「生涯現役」も夢物語ではない。サッカー解説者で、「日本サッカー名蹴会」の会長を務める金田喜稔氏も「現役続行」にエールを送る。
「カズの将来を思い浮かべろと言われても、監督も解説者も、ましてやテレビコメンテーターなんてピンとこない。真っ先にダブるのが、英国の伝説プレーヤーのスタンリー・マシューズ。50歳で引退し、サッカー選手として初めてナイトの称号『サー』を授かった。カズには日本のマシューズになってほしいね。もちろん、会長の席なんていつでも渡しますよ(笑)」
キング・カズは、これからも新たなページをつづっていくに違いない。