今年の夏の甲子園は、大阪桐蔭が史上初となる2回目の春夏連覇となるか注目が集まっているが、過去のデータを振り返ってみると、こんな不吉なデータが浮かび上がってきた。今世紀に入って以降、春の選抜王者の中で夏に甲子園に戻って来たチームは17校中、今回で14校。そのうち、10年の第92回大会では興南(沖縄)が、12年の第94回大会では大阪桐蔭がみごとに春夏連覇を達成している。
ところが、残る12校中、終盤戦まで連覇の夢をつないでいたのはわずか2校しかないのだ。それが第86回大会の済美(愛媛)と第89回大会の常葉菊川(静岡)である。このうち常葉菊川は準決勝で広陵(広島)に3‐4で惜敗。そして済美は史上初の春も夏も初出場での春夏連覇がかかっていたのだが、決勝戦で駒大苫小牧(南北海道)と夏の甲子園史上まれに見る打撃戦を繰り広げた末、10‐13で壮絶に討ち死にしてしまった。
とはいえ、この2チームは“さすが春の王者”という堂々たる戦いぶり。それぞれの年の夏の甲子園優勝校と比較してもその実力は決して遜色ない存在だったといっても過言ではない。問題なのは、残る10校である。何と1回戦もしくは2回戦で早々と甲子園を去っているのである。
今大会の大阪桐蔭は、大会前の評論家の評価は超Aランク。文句なしの優勝候補筆頭であった。だが、2回戦で対戦するのはこれも春1回、夏2回の優勝を誇る智弁和歌山。この両チーム、今年春の近畿大会で対戦しており、その時は6‐3で大阪桐蔭が勝っているが、今回は果たして?
(高校野球評論家・上杉純也)