猛暑続きで体調を崩した方は多いだろう。特に睡眠時のクーラーによる寝冷えは多くの方が経験する。そんな時簡単に回復する方法があった。
先日の新聞に、この夏下痢止め薬「正露丸」の売り上げが伸びたとあった。製造販売元の広報担当者の話として「水分をとりすぎたり、クーラーをつけたまま寝たりすることで、胃腸に負担がかかっているのでは」とあった。そしてこのメーカーの話では気温が23度から1度上がるごとに売り上げが5%伸びるのだという。
今年の夏の猛暑で、冷房のかけ過ぎや寝冷え、冷たいものの取りすぎで、胃腸障害から下痢などの症状が増えた結果とものと思われているのだ。ちなみに「正露丸」は医薬品で、「日局木クレオソート」を主成分とした胃腸薬(止瀉薬)。1830年にドイツ人化学者カール・ライヘンバッハが、ヨーロッパブナの木から木クレオソートを蒸留したことが起源で、日本には1839年に伝わっている。はじめ「クレオソート丸」と言われていたが、日露戦争時にはズバリ「征露丸」として広く軍医の間で使用された(現在でもその名で製造販売しているメーカーもある)。寝込むわけにいかない戦地ではその薬効のあらたかなるところが重宝され、現在でも何社かから製造発売されており、自衛隊で採用されてもいる。
しかし薬に副作用はつきもの。医薬品・治療研究会(代表・別府宏圀)と医薬ビジランスセンターJIP(代表・浜六郎)はこのように警告しているのだ。
「クレオソートは、解毒剤がない劇薬のため、細胞や神経を傷害する高濃度の腐食性があり、血液障害、腎障害、がんの発症リスクを高める薬剤とされる。ただし、腸液の分泌抑制・吸収促進、腸の蠕動抑制などによって下痢を止める作用はあるが、殺菌効果はない」
そして次のように結論づけている。
「安全性と有効性の根拠はまったくない。長期的にも短期的にも服用のリスクが高いので、一般医薬品としての価値は認められない」
人の体は千差万別とはいえ、リスクは避けたい。それにはぴったりの昔からの“知恵”があった。東洋医学家の三上藤雄整体師が言う。
「胃腸の調子が悪い時は、ミネラル分豊富な塩でお腹を直接温める“塩湿布”が効果的です」
粗塩をフライパンでから炒りし、これを布袋に入れて冷めるまでお腹に当てるだけ。冷めたら繰り返し温めて使える。冷えから来る腹痛には最適だという。
そして、下痢の時には「生姜葛湯」がいいとも言う。葛粉に好みのとろとろ加減になるようにお湯を注ぎ、そこに黒糖かはちみつを加え生姜のしぼり汁をいれればできあがり。葛粉にはイソフラボンの含有量が大豆のイソフラボンに比べて5~10倍もその含有量がある。また生姜には体を温め、新陳代謝機能を高める作用があるので体力回復にはうってつけ。
「強い効能の薬は強い副作用を生じることが多い。基本は体に優しい効き目です」
(三上整体師)
さっそく試してみたくなる。
(谷川渓)