人口約8000人。最近は札幌のベッドタウン化も進んでいるこの南幌町で、一家が暮らし始めたのは、20年ほど前のことだった。
「ご両親と長女と次女の4人家族で、3年後にA子ちゃんが生まれました。家族で一緒にスーパーに出かけたり、夜に子供を寝かしたあとは、夫婦2人で飲みに行くなど、近所ではおしどり夫婦で知られていましたね」(近隣住民)
それから間もなく、夫を亡くした祖母との同居生活がスタート。すると、一家の間に不穏な空気が流れ始める。祖母を知る別の近隣住民が語る。
「犬の散歩をする時でもいつも化粧がバッチリ。ブランド物の服を着て、品のいい身なりの方でした。ただ、『夫は公務員で退職金も多く、多額の生命保険も入ってきたの』と話していたことからも、金銭面で一家の家計を支えるようになり、発言力も強くなったのかもしれません」
家からは祖母が父親を罵る声が聞こえてくることもあったといい、夫婦関係も悪化していった。
「2世帯で住み始めてから2年ほどした頃です。家の前を通ると表札の名字が変わっていた。引っ越したのかと思っていると(祖母が)ちょうど家から出てきた。事情を聞いてみると『何やってもダメな旦那だったから(娘は)離婚したのよ』と、皮肉っぽく言っていたのを覚えています」(近隣住民)
義母との生活に耐えられなかった父親は、次女だけを連れて、札幌市内に引っ越した。この頃から祖母の“ターゲット”がしだいに孫のA子になっていったようだ。
「A子がまだ幼稚園児だった04年2月に『家庭内で虐待を受けている』と地元の児童相談所に通報があった。児童福祉司が身体的虐待の痕があることを確認して、12日間保護されているんです」(社会部記者)
誰が暴行したのかまでは定かになっていないが、この時期、祖母は近隣住民にこう漏らしている。
「長女と違ってA子は笑わないし、しゃべらない。すごく不気味でねぇ‥‥」
A子が小学生に上がると、日曜日に1人で家の草むしりや、早朝から雪かきをする姿が目撃される。時には、祖母や母親が帰宅するまで車庫のシャッター前で出迎えるため、冬の寒風の中、コートも着ずに震えながら立っていた。近隣住民が祖母に尋ねると、
「これはウチのしつけ。これくらいできないと家には入れないの」
と話していたという。
さらにA子は、周囲には「離れ」と説明していたようだが、家の敷地内にある4畳ほどの「物置小屋」で、1人で寝起きし、生活をしていたというのだ。
「(祖母に)ツエで叩かれたり、殴られたこともあったそうで、腕が腫れていたこともありました」(小学校の同級生)
そして、中学生になってもA子への“しつけ”が変わることはなかった‥‥。