いよいよビールがうまい季節になってきた。と同時に心配になるのが、格好悪い「ビール腹」「肥満」の恐怖である。だが、そんなビール党オヤジが思わず「ホントかよ!」と叫びたくなる新情報があった。なんと、ビールを飲んでも太らないどころか、飲みながらメタボを解消できるというのである。
ビール好きにとって夢のような方法を説く著書「やせたい人は、今夜もビールを飲みなさい」(PHP文庫)が話題になっている。
著者の管理栄養士・安中千絵氏は女子栄養大学を卒業し、社会現象になったレシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂」で知られる健康機器メーカー、タニタを経て独立した栄養管理のスペシャリストだ。まずはビールにまつわる間違った定説を正すことから。安中氏が言うには、
「ビールを飲む人はポッコリおなかになると言われますが、あれはイメージとして刷り込まれているだけの話。ヨーロッパで2万人以上の男女を対象にした研究では、ビールをたくさん飲むグループもあまり飲まないグループも、ウエスト回りに変化はないという結果が出ています。つまり、ビール自体だけではおなかは出ないということ。今はやりの糖質制限ダイエットでも『まずはビールをやめましょう』が合言葉ですが、ビールを飲みながらでも十分ダイエットは可能です」
というわけで、安中氏の解説を聞きながら、「ビールダイエット」の核心に迫っていくことにする。
そもそもビールが太るとされる原因の一つが、ビールに含まれる糖質だ。
「ウイスキーや焼酎などの蒸留酒と違い、確かにビールには糖質が含まれています。ただ、その糖質量はロング缶1本で15グラム程度。御飯半杯にも満たない量で、健康な人にとってこの程度の糖質量は問題ではありません。つまり、ビールを我慢するのではなく、飲み方やおつまみをくふうすればストレスなくダイエットができるというわけです」
ビールに限らずアルコールが体内に入ると、カロリーの一部は体温上昇などに使われ、そのまま呼気や尿などから排泄される。ただ、肝臓ではアルコールの代謝が優先的に行われるため、糖質や脂質の利用が後回しになり、体脂肪の分解も抑制される。これが長期間にわたって続くと体脂肪が蓄積され、結果、それが肥満の原因となるのだ。
「ただし、ビール中ジョッキ1杯に含まれるアルコールは約20グラムで、これは日本酒なら1合、ワインならグラス1杯半と同じくらいですが、体内に蓄積できないため、直ちに代謝してしまう。アルコールがエネルギー(カロリー)として使われる量は、ごく小さいということです」
ビールにはプリン体なる物質が含まれ、痛風の原因になるとされる。これについては、
「最近の研究で、食品から摂取したプリン体が尿酸値の上昇に及ぼす影響は少ないことがわかってきました。それよりも問題なのは、糖質のとりすぎや肥満。つまり、ビールも極端に飲みすぎなければ痛風になる危険性は少ないのです」
そうはいっても、ビールを控えめにして、代わりに発泡酒やビールテイストのアルコールを飲んだほうが安心、と実践している人もいるだろう。