ベテラン政治記者によれば、
「初の女性総理の座を狙う小池氏は今、3つの極秘シナリオを頭に描いている」
具体的に解説してもらおう。
「まず、全てのシナリオに通ずる大前提は、小池氏がこの総選挙での出馬を見送った以上、女性総理を狙えるチャンスはさらに次の総選挙になるという点です。その上で、自公が過半数の議席を獲得したケースを考えると、おそらく小池氏は選挙結果をそのまま追認して動かないでしょう。ただ、その場合でも、希望の党が議席数で野党第一党の座を占めている可能性は高く、小池氏は『党代表兼都知事』という立場から、次までの期間、自身の存在をアピールしていくことになる。その際の首班指名? どうせ政権は取っていないのだから、そんなもの、小池氏は誰でもいいんですよ」
ならば、自公が過半数割れに追い込まれた場合はどうなるのか。このベテラン政治記者はさらに言う。
「その場合、希望の党の議席数が過半数に達しているケースとそうでないケースとに分けて考える必要があります。まず、過半数に至らず、かつ、自公の議席数を下回った場合、小池氏は安倍総理の首と引き替えに、閣外連立を含めた是々非々での大連立与党の形成に踏み切るでしょう。一応、安倍政権を退陣に追い込んだという大義名分は立つのだから、その際の首班指名は自公の推す候補でもかまわない。次の総選挙直前、連立解消で再び風を起こすことができれば、初の女性総理への視界もいきおい良好になっていくという読みですよ」
まさに事実上の「自民乗っ取り」による「アベよ、さらば」である。
では、希望の党が過半数に達しないものの自公の議席数を上回った場合、あるいは、希望の党が過半数の議席数を獲得した場合はどうなるのか。実はこの時、小池氏は秘中の秘として準備してきた“ウルトラC”を炸裂させる可能性があるというのだ。小池氏に近い希望の党関係者が声を潜めて言う。
「ズバリ、安倍総理とソリが合わない石破茂氏(60)を派閥ごと引き抜き、希望の党政権の首班に祭り上げるという電撃作戦ですよ。これなら再来年の参院選の際に『石破総理』をして衆参ダブル選に持ち込ませ、衆参のねじれを解消する形で悲願たる初の女性総理の座を射止めることもできる。自公政権での総理・総裁の芽が萎みつつある石破氏としても、これなら悪くはないというか、食指の動く話になります。だから最近の石破氏は、今回の安倍総理の解散劇を『大義なし』として不満を表明する一方で、小池氏のトリッキーな動きに対してはまんざらでもない秋波を送っているんですよ」
もしこの“ウルトラC”が現実のものとなれば、また新たに一人、緑のタヌキに急所を握られる「騙され侍」が誕生することになるのだが‥‥。
永田町の錚々たる面々の急所を握ったまま、小池氏がまんまとその野望を果たすのか。はたまた、握られた面々が、どこかの局面で思いがけない反撃に打って出るのか。
次を見据えた小池劇場の第一幕は、10月22日の投開票日に切って落とされる。
森省歩(ジャーナリスト)