去る10月に大阪で開かれた日本肥満学会で“40歳代独身男性のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、23%で既婚者の2倍”だと発表された。発表したのは東京慈恵医大の和田高士教授(健康科学)。和田教授のグループは、同大病院で人間ドックを受けた40歳代の男性2113人を対象に、調査を実施した。内訳は既婚者1672人、単身赴任者131人、独身者(離婚も含む)310人。結果は、メタボの人は独身者が23%で、既婚者の11%の約2倍だった。
さらに独身者は、メタボの診断基準となる腹囲や血中の中性脂肪、血糖値、血圧の平均値がいずれも既婚者より高かったという。和田教授はその大きな理由に食生活の乱れをあげ、かつて日本内科学会総会の講演会でもこう発表している。
「朝食を食べたり食べなかったりという不規則な生活習慣性が、メタボリックシンドロームの発症に影響している。朝食を食べたり食べなかったりする人は、毎日食べる人よりメタボリックシンドロームになるリスクが女性で4倍以上、男性では2倍近く高くなります」
40代は人生の中でも一番働き盛りで多忙。結果、心身を酷使する。スポーツジムのインストラクターを務める立原健太氏は40代が太りやすくなる理由についてこう話す。
「40代はストレスが多く、それを解消するために暴飲暴食を繰り返します。運動不足になるので消費エネルギーが少なくなり、全身の筋肉が落ちる。そして基礎代謝量が落ち、消費エネルギーはさらに小さくなるんです」
さらに独身者は食生活をはじめとする生活の管理が杜撰になりがち。健康診断でメタボと診断され、ハードな運動や食事制限を行うが、急激な変化で逆に体調を崩し、結果ダイエットに挫折する。前出・和田教授はこうも付け加える。
「メタボリックシンドロームは生活習慣病ですから、原因としては、生活習慣の乱れが大きい。朝食をとったりとらなかったりというより、不規則な食生活が原因になっています。不思議に思われるでしょうが、朝食をほとんどとらない、つまり生活の乱れがなければメタボ発症に影響を及ぼさないのです」
朝食抜きに関しては別の問題はあるが、メタボ解消の基本は規則正しい生活、ということのようだ。もっとも、これがいちばん難しいのだが。
(谷川渓)