1次ラウンドで同じA組に入るキューバとの国際強化試合で、侍ジャパンが船出を飾った。3連覇に向けて日本の才能が結集、万全の態勢で来年3月の本番へと突き進む‥‥はずが、早くも暗雲が垂れこめ、視界不良の空模様。横ヤリ、拒否、怒号、対立、陰口と、指揮官を悩ます難敵がチーム内に身を隠し、謀反をたくらんでいるのである。
「ダルビッシュ有、出場辞退」─。
来年3月2日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に緊急事態が勃発した11月7日、侍ジャパンを率いる山本浩二監督(66)は頭を抱えた。絶対的エースとして不可欠な戦力が、米レンジャーズ2年目のシーズンへ向けての調整を優先することになったのだ。山本監督はみずからダルビッシュ有(26)の携帯電話に連絡して出場を要請、一時は前向きな言葉をもらっていた。ところが、電話はその後まったくつながらなくなったという。スポーツ紙デスクが言う。
「山本監督がダルビッシュの辞退を知ったのは、レンジャーズ公式サイトでの発表を見た息子からの報告だった。その後、日本野球機構(NPB)から連絡を受けたが、ダルビッシュ本人からは1本の電話もありません。これには『電話してひと言、すみませんと言えばいいのに』と非難の声が上がりました」
同じくオファーを受けながら辞退を表明したメジャー組の岩隈久志(31)、川崎宗則(31)、青木宣親(30)の3人は山本監督に直接電話をかけ、理由を説明している。
デスクが続ける。
「ダルビッシュは星野仙一監督(65)の下、08年の北京五輪代表として出場した際、現地に観戦に来た当時の妻・紗栄子が泊まるホテルの部屋に“無断外泊”したことがバレ、星野監督の鉄拳制裁を食らった。直後に丸刈りにしましたが、敗戦処理のような使い方をされるなど、プライドを傷つけられました。以降、星野監督を嫌い、守備走塁コーチを務めた山本監督もその仲間と見なしているのです」
野球評論家の金村義明氏(49)も、関西ローカルのテレビ番組「たかじん胸いっぱい」(関西テレビ)に出演した際、こんな暴露話を。
「ダルビッシュを呼ぶために浩二さんは(前日本ハム監督の)梨田さんをコーチにしてますけど、ダルは梨田さんのことが嫌いですからねぇ(笑)」
メジャー組には別の理由もあった。米在住ジャーナリストが言う。
「WBCなんて日本だけでしか盛り上がっていないことがわかったからです。アメリカではオープン戦に毛が生えた程度のもの、という認識しかない。前回大会も新聞では試合結果ぐらいしか載らなかったし、ちょうどその頃は大学バスケットボール(日本の高校野球甲子園大会みたいなもの)が大盛り上がりで、完全に陰に隠れました。今回も、招集メンバーのニュースは皆無で、まったく関心がないんです」
テレビ局スタッフも、
「選手会のボイコット騒動を経て、日本がようやく参加表明した9月、ある民放局がアメリカにいるフリーのテレビマンに、アメリカ国民の反応を取材した映像を送ってくれと依頼したところ、WBCをボクシングと間違える人が続出したんです。この企画もボツになりました」
これでは気持ちが一気に冷めるのもしかたない。