だが、日馬富士の引退で世間の批判をかわすことができたとしても、肝心の暴行事件の解決には、貴ノ岩(27)の師匠である貴乃花親方(45)の協力が不可欠。ところが、11月30日に開かれた理事会では、それまで完黙を貫いていた貴乃花親方も出席し、協会との全面対決の場となったのだ。
「理事会の席次は貴乃花親方の向こう正面に八角理事長、さらには春日野親方(55)、尾車親方(60)が両脇を挟み撃ち、執行部が貴乃花親方をぐるっと包囲する異様な光景でした。通常、本場所後に開かれる定例会は30分ほどで終了しますが、今回は3時間半にも及び、協会に協力姿勢を見せない貴乃花親方をつるし上げた」(相撲ジャーナリスト)
会議では、「警察の捜査に支障があってはならない」と、あくまで協会による貴ノ岩への事情聴取に反発する貴乃花親方に対し、一部の出席者が、「それなら警察に聞いてみよう」と、実際に鳥取県警に電話で問い合わせる一幕もあった。
「県警は協会が貴ノ岩を聴取してもかまわないとの判断だったが、貴乃花親方は、あくまで警察に任せているので協力できないと突っぱねた。最終的には『警察の捜査が終わった段階で協力する』と折れた形となったのです」(前出・相撲ジャーナリスト)
まさに貴乃花親方vs相撲協会の遺恨対決の第2ラウンドへ突入したのだ。
「今回の騒動で、伊勢ケ浜親方は仲のいい二所ノ関一門の芝田山親方(55)に相談していた。日馬富士の引退には、この二所ノ関一門の意向が強く反映されていたようです。また、日馬富士が引退すれば、世間は『横綱は身を削って引退した』と同情する。『その次は貴乃花親方の番だ』という流れを作ったわけです」(相撲部屋関係者)
会議後には協会による事件の中間報告が発表されたが、
「一次会の席で、9月に貴ノ岩が錦糸町のバーで『あなたたちの時代ではなくなった』という貴ノ岩の暴言について白鵬が説教したが、その場は日馬富士がかばった。しかし、二次会で再び白鵬が説教している最中に貴ノ岩がスマホを見たことで、日馬富士が逆上し、貴ノ岩を殴打。その後も、貴ノ岩がにらみつけたため、カラオケのリモコンで数回殴りつけた。また、当初言われたビール瓶ではなく、シャンパンボトルを威嚇のために持ち上げたが、水滴のせいで手から滑り落ちている。貴ノ岩が最初に謝罪すれば大事にならなかったという、被害者の貴ノ岩のほうに非があるかのような説明だった」(相撲担当記者)
引退した日馬富士に情状酌量の余地ありという報告だったわけだ。
「伊勢ケ浜親方は理事に残留する方針です。また突然、現役横綱を失うことになり、左前になることが見込まれるため、特別な温情措置がある模様です。もちろん朝青龍と同じように、現役力士を日馬富士に接触させないというお達しはあったとしても、貴乃花親方が問題視しているモンゴル力士会については存続を認める方針です」(前出・相撲ジャーナリスト)