テリー 安倍総理は、ずっと「北朝鮮に圧力を」と言っているじゃないですか。確かに、政治家としてはカッコいい姿勢なのかもしれないんですけど、「圧力」って強い言葉ですし、加えて先日来日したトランプ大統領との会談で「(北の問題に)協力する代わりに武器を買ってよ」みたいな話になって、相当いろいろ買うことになりましたよね。
舛添 ええ、ステルス戦闘機のF-35とか迎撃用のイージス・アショアとか。
テリー やっぱり大統領というより商売人なんですかね(笑)。しかしそんなことをしていると、お金もかかるわけですよ。この問題に関してどうお考えですか?
舛添 当然、私は対話と圧力、どちらも重要だと思いますが、恐らく対話のパイプがないんでしょう。それこそテリーさんが、特使で行ったほうがいいんじゃないですか。
テリー いやいや、もうアントニオ猪木さんが行ってるじゃないですか。
舛添 むしろ、テリーさんのほうが信用されるかもしれない(笑)。
テリー 僕は大前提として、トランプさんと安倍さん、どちらも北朝鮮との戦争はない、と思ってるような気がするんです。ただ今の状況なら「許さん!」と言っているほうが、イメージがいいからやってるんじゃないですか。
舛添 基本的にそうだと思いますよ。例えば、日本には3万人ぐらいの在日朝鮮人の方がいるわけです。
テリー ええ、朝鮮総連もそうですよね。
舛添 だから、金正恩もそう簡単に撃ったりしないですよ。要するに「同胞がいる日本にミサイルを撃つんですか。みんな死んじゃうかもしれませんよ」ということですから。さすがに、そんなバカなことはしないでしょう。
テリー そりゃまあ、冷静に考えればそうですよね。
舛添 あと、実際に戦争が始まるとなると、同盟国の中国やロシアは、朝鮮戦争の時みたいに北朝鮮につかざるをえない。そうなると、世界大戦になるわけですからね。
テリー しかも、仮にアメリカが北朝鮮を攻めて勝利したとしても、中国がニラミを効かしているかぎり、アメリカが占領軍として統治するわけがないですしね。攻めたはいいけどウマミもないんじゃ、戦争する意味なんてない。
舛添 結局のところ、現状維持がいちばんいいわけです。だけど、我々は“核兵器を持たない北朝鮮の現状維持”を望んでいるわけでね。本当は北朝鮮が完全に妥協して、「もう核は捨てます」と言ってくれればいいんですけれど‥‥。
テリー それ、絶対にない話ですよ。
舛添 そうです。そしてアメリカの「核を捨てろ」という警告は、アメリカに届く核、つまり大陸間弾道弾と核の組み合わせをやめろという意味で、日本や韓国に到達する核を所持するな、とは明言していないんですよ。
テリー ああ、確かに。
舛添 ですから、北朝鮮に小さい核──アメリカに届くほどではないけれど、韓国や日本には有効な核弾頭なら持たせてやるか、みたいな話も出てくるかもしれない。で、日本、韓国は、それぞれ自分たちで核を持ってそれを抑止しなさい、みたいな解決策をアメリカは考えているかもしれないですね。
テリー なるほど、それはかなりリアリティーがありますね。日本はいつもアメリカに頼ってばかりだけれども、アメリカは基本「アメリカファースト」だから。