テリー もし、舛添さんが現在も都知事を続けていたとしたら、何に取り組んでいましたか?
舛添 まずは遅れている都市計画ですね。東京という街を100年、200年と保たせるために、30年に一度リフォームしなくてはいけないわけです。今、渋谷や大丸有(大手町・丸の内・有楽町)などは進行していますけど、予定していたところがほとんどストップしてしまっているんです。これは大きな問題です。それに加えて、さらなる高齢化社会を見据えて東京のグランドデザインを変えないといけない。
テリー 具体的には、どういうことですか。
舛添 我々の親世代は、持ち家を持つとなると郊外に買ったものですけど、今は都心回帰の傾向が強いんですよ。夫婦共稼ぎで子供が少ないから、職住隣接で近くに保育所があるような、便利な地域に住みたいと思っているわけです。
テリー そうですよね。
舛添 そういった都民の配置バランスを考えて、都心や郊外の使いみちを早急に考えていかないといけない。なのに、小池さんは目の前の豊洲や選挙にエネルギーを取られてしまって、そういう事柄にはまったく動いていない。このままだと、東京はよその街に大きく差をあけられてしまいます。
テリー 確かに、そういう問題は、あまり小池さんから語られていない気がしますね。
舛添 それから2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関して言うと、文化プログラムがまったくなってないです。スポーツと同時に文化の祭典でもあるはずなのに、そこもまったく進んでいない。だから今でも街を歩いていると、「ああ、これ、動いてないじゃないか」「ここもダメだ」と、もう気になってしかたがない(苦笑)。
テリー 自分であれこれ考えていただけに、イライラも倍増ですね。
舛添 だって豊洲の移転もまだ決まらないでしょう?
テリー 来年の9月か10月になるんじゃないか、と言われていますよね。
舛添 決まらない理由は2つあって、1つは追加工事の入札不調なんですよ。9件のうち、まだ2件しか入札されていない。それは現在試行されている入札制度改革で、「1者入札を原則認めない」「予定価格の事前公開廃止」を打ち出したから。今、建設会社は他に仕事がたくさんあって儲かっているのに、わざわざ問題だらけの豊洲に行くわけがないんですよ。
テリー 一挙一動が注目を浴びるし、何かあったらすぐ問題になりますからね。
舛添 都が要求する内容は高度なものが多いですから、予定価格内で収めることはなかなかに難しい。それでも入札させるには、「その代わりに、どこかで借りを返すから」という話にならざるをえない。そういう現場の状況も知らないまま入札制度をブラックボックス扱いして切り捨ててしまったのが、今の状況ですよ。もし、来年の10月に移転が間に合わないとなると、中央環状線ができない。築地の跡地に、オリンピックに向けて5000台のバス駐車場を造る予定なんですが、環状線がないと選手村からの輸送がアウトです。
テリー ああ、ホテル三日月さえなければ(笑)。
舛添 ハハハ、あれから1年たって、私もやっと落ち着いてきたので、都知事時代に知ったこと、学んだことを、今後いろんな形で語っていきたいですし、それが、よりよい都政の道を指し示すきっかけになればいいな、と考えています。
◆テリーからひと言
いろいろ騒ぎになったけど、あらためて語り合うと、話もわかりやすいし、実に優秀な人なんだよね。ぜひ、今後も厳しい目で小池都政をチェックしてください。