民主党議員秘書「正月は無職で迎えます」
テレビ局は「年末特番の規模縮小を思案中」
NHK大河ドラマ「最終回前夜が台なしだ」
戦後5回目、29年ぶりとなる師走の総選挙。寒空の中、みずからの首をかけて選挙に挑む先生方も大変だが、それ以上に迷惑をこうむっている人々も─。
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「何かと入り用な時期だっていうのに、正月は無職で迎えることになりそうだ」
本誌記者が取材に訪れた先で、ある民主党議員秘書が開口一番、こう言ったのだ。続きを聞けば、冗談ではないことがわかる。
「ウチの先生は落選しちゃうだろうし、選挙を手伝いながら、議員会館の荷物整理を始めているんだよ。誰か維新の有力な新人候補に知り合いはいない? 売り込みに行きたいんだけど」
議員が落選すると同時に失職するのが議員秘書の定めではある。しかし、今回の選挙で大敗が予想される民主党では深刻な問題だ。
「現在、民主党は50〜60議席しか獲得できないのではないかと予想されています。約200人の議員がいなくなるとして、そこに付いていた公設秘書が3人で計算すると、約600人の秘書が失業です。もちろん、労組などから派遣されて戻るところがある人はいいが、国家試験に受かって政策秘書になった人は、この時期の選挙は迷惑でしょうね」(政治部デスク)
一方、選挙を巡る政治ドラマを報じるテレビ局も大迷惑をこうむっている。民放局関係者が言う。
「12月16日は夕方から選挙一色の番組になるため、放送予定だった番組が飛ぶことになる。年末向けの内容の番組だと、別の時期に放送するわけにもいかない。編成局は頭を抱えていますよ。年々、制作費が減少するバラエティも選挙特番に制作費を取られ、年末特番の規模が縮小されると戦々恐々です」
本誌は衆院解散後に発表された番組表を入手。多くの民放局がレギュラー番組の〈内容は未定〉として選挙に備えている。そんな中、日テレは午後7時から「FIFAクラブワールドカップ決勝」の中継とあった。
「ワイプ画面を駆使して二元中継することになります。選挙に興味がない人が観るので視聴率が上がると喜ぶ声もありますが、サッカーファンからは苦情が来るでしょうね」(日テレ関係者)
問題なのはNHKだ。午後8時からの大河ドラマ「平清盛」は二元中継とはいかない。
「選挙は常に日曜ですから、慣れたものです。放送時間を変えるなどで対応できる。それでなくとも視聴率が悪いのに、最終回前夜が台なしになるのは残念ですね」(NHK局員)
しかし、いちばん大迷惑なのは有権者だ。政治ジャーナリストが言う。
「年末の金策に駆け回る中小企業の社長たちは本当に大迷惑でしょう。忘年会がキャンセルになっている居酒屋も多く、経済的にはダメージばかりです」
本当に誰も得をしない年末の大騒動がやって来る。