急転直下、ソフトバンクを退団した松坂大輔の中日入りが「事実上」決まった。1月下旬にも名古屋で入団テストが行われるが、これはあくまでも「儀式」にすぎない。故障した肩はもはや再生不能との噂まである松坂の移籍劇には、ドロドロの仰天裏事情が──。
師走の球界に衝撃が走った。今オフのストーブリーグ最大のサプライズは、大谷翔平(23)のエンゼルス入団よりもむしろ、松坂大輔(37)の「中日内定」のニュースだったのかもしれない。ソフトバンクを電撃退団。右肩を痛め、高額な年俸負担もあり、どこも引き取り手がないと思われていたやさきに、水面下で事態は動いていたのだ。さる球界関係者が証言する。
「松坂サイドはソフトバンクを退団してもすぐオファーが殺到するとタカをくくっていたようです。しかし、待てど暮らせど来ない。そこで慌てて、直接動いた。とはいえ、プライドがあるので、メジャーの代理人のように全球団にオファーをかけたわけではなく、本音で話のできるところだけに独自の人脈を使って話を持ちかけたのです。それが阪神の金本知憲監督(49)と中日の編成部国際渉外担当、デニー友利氏(50)でした」
中日の元投手コーチ、友利氏は元西武で松坂入団時から面倒を見ていた兄貴分という存在。松坂がポスティングでレッドソックスに移籍した際には、松坂サイドの口利きもあって、ともに渡米してレッドソックスでコーチ見習いもしていた。4年前の松坂の凱旋時に中日もオファーをかけたが、これも友利氏を通じてのホットライン。森繁和監督(63)も西武の投手コーチ時代に松坂を教えているという旧知の仲だ。さらに、横浜高校時代に松坂とバッテリーを組んでいた小山良男氏(37)も在籍しており、チームに溶け込む環境は整っている。
中日は1月下旬に名古屋に松坂を呼び寄せ、テスト登板させて右肩の回復度をチェックする予定だが、これはあくまでも「儀式」。名古屋のスポーツマスコミ関係者によれば、
「ファンから『なぜ松坂を獲るのか』という批判もある。そうした声を払拭する意味でやるそうです」
年俸は2000万円が基本で、そこに出来高払いがつくという大安売りセールでの契約になるという。
全ては松坂の勘違いから始まった──。
松坂は14年、ソフトバンクと3年12億円とも15億円とも言われる巨額契約を結んだが、実は4年目の「オプション」があったという。ソフトバンク球団関係者が声を潜めて明かす。
「球団側に選択権があるオプションですが、実質的には松坂が辞めますと言わないかぎり契約を延長できる内容だったのです。ただ球団は今オフ、支配下登録せず、育成コーチという肩書でリハビリに専念してみれば、とオファーをした。松坂はコーチ兼任はやぶさかではなかったようですが、支配下登録を外されることにプライドが傷ついたようです」
ソフトバンクでは過去に、右肩を痛めた元エースの斉藤和巳氏(40)が支配下登録を外れ、3軍リハビリ担当コーチをしつつ復活を目指した例がある。3年間もがいた結果、引退したが、ソフトバンクは松坂に「何年かかってもいい」との温情を示したと言われる。