しかし、である。にわかに勃発した今回の内紛劇については、表側で取りざたされている政策や路線の違いなどとは裏腹に、その本質は小池氏への恨み、権力やカネへの執着、自己保身のための思惑などが複雑に絡み合った「内ゲバ」にすぎない、との指摘が早くも飛び交っている。
この点について、希望の党所属のさる有力議員は、
「玉木氏の背後で糸を引いているのが、古川元久幹事長(52)。古川氏は小池氏の番頭を務めていた憲法調査会長の細野豪志氏(46)を筆頭に、チャーターメンバーと呼ばれる結党組が鬱陶しくてしかたがない。ただし、ならば今回の玉木氏のクーデターに賛同する議員が多いかといえば、そんなことはなく、54人いる衆参議員の大半が冷ややかな目で事態を眺めている」
と内情を暴露したうえで、さらにこう明かすのだ。
「同様に、玉木氏を批判している松沢氏に賛同する議員も少なく、旗幟を鮮明にすると思われるのは副幹事長の行田(こうだ)邦子氏(52)、井上一徳氏(55)、中山恭子氏(78)、中山成彬氏(74)くらいのもの。しかも行田氏は、年齢的に引退がささやかれている中山恭子氏の後釜を狙っていると言われ、両院議員総会長・代議士会長の松原仁氏(61)、政策調査会長の長島昭久氏(55)、行政改革・情報公開推進本部長の後藤祐一氏(48)、元代表代行の樽床伸二氏(58)、元国会対策委員長の笠浩史氏(53)らのチャーターメンバーも一枚岩ではない」
ついでに言えば、玉木氏と松沢氏の対立のスキを突く形で、玉木氏と代表選を争った大串博志氏(52)も、第3グループの立ち上げを模索。だがこちらも賛同者はきわめて乏しく、希望の党は分裂崩壊の危機に直面することになったのだ。
ただ、話はこれで終わりにはならなかった。各陣営とも少ない賛同者しか得られない中、分党に際しての政党交付金を巡る問題が急浮上してきたのである。この有力議員が続ける。
「政党交付金は分党後の議員数に応じて比例配分されるが、これには『議員数5人以上』との要件が付されている。ところが玉木、松沢、大串の3陣営とも、この要件を満たせない可能性があることが判明。要するに、いずれが分党に踏み切るにせよ、貧乏クジを引くだけの結果に終わってしまうことに、皆、気づいたわけです」
そして、永田町関係者もまた、半ばアキレ顔でこう指摘するのだ。
「実は、内紛が勃発してからわずか10日ほどで、各陣営は突如として休戦状態に突入した。最初にケンカを仕掛けた玉木氏も『小池さんを排除するとは言っていない』などと、シレッとして言い訳を口にする始末。玉木氏としては、『排除の論理』が独り歩きすれば、小池氏と同じ轍を踏むことにもなりかねないという危機感に加え、場合によっては自分たちが政党交付金も手にできないまま党を追い出されるかもしれないという恐れを抱いたんでしょう」
ならば事態を静観視していた大半の議員らに見識があったのかといえば、必ずしもそう言えないところに希望の党の現在の「絶望」が見え隠れしている。