これぞまさに「ブーメラン」。かつてノケ者にした仕打ちが、いつしか自分のもとに戻ってくる大ピンチに──。みずからが設立した党が分裂するどころか、追い出されるハメになるとは、かの東京都知事は思いもよらなかったことだろう。「逆排除の論理」を突きつけられた「クーデター」の舞台裏を全て明かす。
希望の党の執行部が同党の小池百合子特別顧問(65)を「電撃排除」へ──。
通常国会の開幕を目前に控えた1月下旬、こんな衝撃情報が永田町を駆け巡った。コトのキッカケは、同党の玉木雄一郎代表(48)が1月21日に栃木県小山市での講演でブチ上げた「脱小池宣言」だった。
「どうしても希望と聞くと小池氏の党だ。それとは違う玉木カラーを出す!」
それから5日後の26日に開かれた同党の両院議員懇談会。挨拶に立った玉木氏は返す刀で、さらにこう畳みかけてみせたのだ。
「野党の大きな塊を作るため、希望が主体的に統一会派結成を働きかける。対象は旧民進系だ」
与野党の動静に詳しい永田町関係者が明かす。
「表向きは安倍一強に対抗するための野党再編を口にしているが、玉木氏を突き動かしているのは民進党を事実上の壊滅に追い込んだ小池氏への怨念だ。玉木氏は小池氏を放逐することで希望の党を乗っ取り、旧民進系の無所属勢力や立憲民主党などを糾合して、野党再編のヘゲモニーを握ろうと画策している」
週刊アサヒ芸能17年10月19日号で詳報したように、小池氏は安倍晋三総理(63)ら永田町の錚々たる面々を手玉に取って希望の党を旗揚げした。ところが、小池氏が民進党左派の「排除」に乗り出すや、雲行きは一変。何人もの男たちを握り潰したかに見えた強引な手法が有権者に見放され、小池氏の側近を務めていたあの若狭勝氏(61)までが「まさか」の落選を喫したのである。
その後、小池氏は都知事の職に専念するとして希望の党代表を辞任したが、「排除の論理」で墓穴を掘ったその当人が同じ論理で「報復クーデター」を起こされるとは‥‥、まさに皮肉な巡り合わせと言うほかない。目下、小池氏は都庁担当記者らの取材にも無言を貫いているが、さっそく、小池氏に近い結党メンバーからは反撃の狼煙が上がった。
中でも、玉木氏の脱小池宣言に激しくかみついたのが松沢成文参院議員(59)。松沢氏は夕刊紙の取材に答える形で、次のように怒りをブチまけてみせたのだ。
「我々は『改革保守の新しい政党』として、憲法改正や安全保障法制を『容認』する政策を掲げて旗揚げした。我々こそ、希望の党の本流だ」
実は1月26日の両院懇の席上、玉木氏は「改正の是非を含めて議論を行う」として、憲法改正への慎重姿勢を打ち出した。同時に安全保障法制でも、集団的自衛権行使の要となる武力行使を非とする姿勢を示したのだが、松沢氏はこれらの方針転換についても、玉木氏をこう罵倒してみせたのだ。
「今の執行部は、公約から大きく変節した。(野党再編など)公約に書いておらず、玉木氏は、昨年11月の代表選でも言及しなかった。有権者を裏切り、愚弄する行為で、絶対に許せない!」