例えば先の総選挙で、民進党議員の希望の党への合流に際して「三権の長を経験された方はご遠慮いただきたい」とのゴーマン発言をかました細野氏。本来なら、チャーターメンバーとして松沢氏とともに「反玉木」の狼煙を上げて当然の立場なのだが、まったくの音なしの構えなのだ。
「要するに、どっちつかずの“洞ヶ峠”を決め込んでいるんですよ。細野氏は勝ち組に付くタイプですからね。この点は様子見に徹している大半の議員らにも言えることで、勝ちを収めたリーダーに付き従いたいとの下心が透けて見える。そもそも選挙のために希望の党に尻尾を振った連中ですから、今さら理念もへったくれもあったもんじゃない」(希望の党関係者)
そんな中、思わぬところから、希望の党にくすぶる四分五裂含みの熾火に油を注ぐ人物が現れた。細野氏が排除した「三権の長」の経験者で、立憲民主党から出馬して当選し、現在、同党の最高顧問を務める菅直人元総理(71)である。
「菅氏は目下、玉木氏らから排除されようとしている小池氏に秋波を送っている。母体となるのは小泉純一郎元総理(76)が顧問を務める『原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟』(原自連)。菅氏は『原発ゼロ』を公約に掲げていた小池氏を原自連に引き入れ、来年夏の参院選を目標に、草の根の一大市民運動を展開したいと考えている。展望を失っている小池氏にとっては、渡りに舟。今は静観していますが、それはうかつに動けないから。菅氏としては、希望の党の結党メンバーはむろんのこと、立憲民主党、共産党、社民党、自由党まで巻き込んだ野党大再編も見えてくる、との腹だ」(菅氏に近い政界関係者)
だが、立憲民主党を率いる枝野幸男代表(53)は、先の衆院選で小池氏から徹底的に排除され、握り潰されてしまった最大の標的である。結果的に枝野氏への同情票などから立憲民主党は躍進を見せたが、その因縁の主に「助けて!」となるとは‥‥。
それにしても、野党大再編、それも小池氏に近い結党メンバーまで迎えての野党大再編など、はたして実現可能なのか。自民党のさる執行部関係者は、こみあげる笑いをこらえつつ、次のように言い放つのだ。
「エダノンとユリコがヨリを戻す? 悪い冗談はヤメてくれ。逆に玉木氏の希望執行部と立憲民主が手を組んだとしても、有権者からは『あの総選挙は何だったのか』との声が湧き上がるだろう。まさに去るも地獄、残るも地獄のドン詰まりだよ。集散しては離合し、離合しては集散するのは旧民進のお家芸だから」
何のことはない、今回の内ゲバもまた、安倍一強を援護射撃する、お粗末な田舎芝居の一幕だったのだ。