日本ハムを離れ、新境地・エンゼルスで期待以上の大活躍をしている大谷翔平選手。背景にはもちろん、天性のセンスや恵まれた体格、そして本人の不断の努力があることは言うまでもないが、その努力の方法については、花巻東高校時代の恩師・佐々木洋監督の指導で高校時代に始めた「81マスシート」の存在が大きいという。
これは別名「目標達成シート」「マンダラチャート」などとも呼ばれているが、ごく簡単に説明すると、81個あるマス目の中に自分の目標を書き込んでいく、というもの。もともとは仏教の経典である曼荼羅から発想したスタイルだといい、経営コンサルタントなど複数の著者によって書籍化されているものが、そのルーツのようだ。
このシートは誰でも紙と鉛筆があれば簡単に作ることができる。まず、大き目の真っ白な紙やノートなどを用意したら、中心部に正方形を書き、それを縦×横に3本、線を引く。そうすると、9つの枠ができる。さらにその9つの枠の周囲にも、同様に縦×横3本に区切った正方形を増やしていくと9つの枠がさらに8個できるはず。
要はタテヨコ9×9=81個のマス目というわけだが、次に、この一番ど真ん中にあるマスに最終目標を書くのだという。大谷選手は、高校一年生の時に、「ドラ1、8球団」と書いた。これは、8球団からドラフト1位指名を受けるという目標のことだが、その最終目標を達成するために必要なことを周囲の8つのマスに書き込んでいく。大谷は「キレ」「コントロール」「スピード160km/h」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」「体づくり」と加えた。そしてさらに、例えば「キレ」という項目を、周囲に8つある9枠の一つの中央にもう一度書き加え、「キレ」を作ることに必要だと思うことを、その周囲のマス目にどんどん書き込んでいく。残りの「コントロール」などの項目も同様に書き込み、81個のマスがすべて埋まれば完成。さらにこのシートで書いたことを、週単位、月単位、年単位…というように、今日、もしくは明日は具体的に何をやるべきか? というところまで落とし込み、最終目標を達成するまでの、逆算した細かなスケジュールを立てていくことでより目標の実現へと近づくという。
このシート、ビジネスをはじめあらゆるシーンにも応用できる。もっとも、作るのが簡単でも、真剣にとり組む実行力は絶対に必要だが、現状打破したい人、今一度、自分の夢を掘り起こしたいという人たちはより詳しい方法を書籍などで参照し、トライしてみてはいかがだろうか。
(島花鈴)