アメリカMLBエンゼルスの大谷翔平が、打者としても大活躍だ。4月12日(日本時間13日)のロイヤルズ戦に8番DHとして出場した大谷は、最多勝経験も持つ右腕ケネディに第一打席は見逃し三振に封じられるも、第四打席には満塁の場面で走者一掃のタイムリー三塁打。5打席で4打数1安打、3打点の成績を残した。
ファンの注目はメジャー入り後初めての三塁打に集まっているが、バッター大谷としての真骨頂が表れたのは、6回表に二死ランナー二塁の場面で申告敬遠になった場面にあるという。次打者が右飛を打ち上げ、結果としてロイヤルズ側の作戦勝ちだったわけだが、このシーンについてスポーツライターが語る。
「敬遠を受けるのはもちろん猛打者として恐れられているからですが、この敬遠により、この試合での大谷は1安打ながら2出塁を記録しました。この出塁こそが、メジャーリーグでは重要視される指標なのです。2011年公開のブラッド・ピット主演の映画『マネーボール』により、アメリカでは、選手を統計学的な見地から評価する“セイバーメトリクス”が広く知られていますが、この手法では打率やホームラン数よりも『出塁率(OBP)』と『長打率(OPS)』の2つを重視します。そしてその二つで大谷は傑出した数字をあげているのです」
エンゼルスの13試合終了時点で大谷は26回、打席に入っている。規定打席数の41に満たないので大谷の打撃成績はランキングに表示されないが、打率.364はリーグ7位。そして出塁率.417は同23位タイとなっており、長打率1.189に至っては堂々のリーグ2位なのである。
「打率は水物と言われるのに対し、四死球でも数字の上がる出塁率は、打者の価値を明確に示すものとされています。その出塁率で大谷はクリーンアップの3番アップトン、4番プホルス、5番カルホーンらを抑えてチームトップに君臨。長打率もリーグ全体でトップクラスですが、こちらは長打が出ないと下がりやすい数字なので、大谷の真骨頂は出塁率に表れていると言えるでしょう。その意味から出塁率を上げる敬遠にも注目すべきというわけです」(前出・スポーツライター)
アメリカの大手スポーツサイト「ESPN」では、MLBのページにわざわざ「Ohtani Tracker」という特集ページを用意。大谷の注目度が全米クラスであることを示している。その特集ページがシーズン終了までなくならないような活躍をぜひ期待したいものだ。
(金田麻有)