テリー 男爵、お子さんはいるんだっけ?
山田 5歳の娘がいます。実は、娘は僕が「髭男爵」ということを知らないんですよ。
テリー えっ、じゃあ、お父さんの職業を何だと思っているの?
山田 どうでしょうね‥‥フレキシブルに働くサラリーマンとか?(笑)。
テリー いつか「普通のサラリーマンにしては、家に変な高い帽子がたくさん転がっているな」と怪しまれるんだよ。
山田 最近、なんとなく気づいているみたいで、それがまた怖いんですよ。
テリー どこまでごまかせるかが勝負だね。しかし、文筆で注目された流れで、例えば「小説を書いてみたい!」みたいな気持ちはあるの?
山田 あ、僕はやる気あるんですけど、今のところはそういうオファーが全然ないんですよね(笑)。ただ出版する、しないは別として、以前から一発屋芸人版「半沢直樹」みたいな本は書いてみたいと思っているんですよ。「一発屋のリベンジ」みたいなものをテーマにして。
テリー へぇ、それ、おもしろそうじゃない。じゃあ髭男爵は、今後どういうことをしていこう、みたいな目標はある?
山田 ここ数年、年に1回単独ライブをやらせてもらっているんですが、そこでスーツ姿の漫才もやってみたんですよ。コスプレで世に出てきた芸人が、正統派の漫才をして、もう一度結果を出す。そういうのってなんかカッコいいじゃないですか。
テリー ああ、レイザーラモンみたいにね。
山田 そうです。でも、実際にやってみたら漫才のウケがイマイチだったんですよ(苦笑)。なので、今は70歳ぐらいまでシルクハットかぶって頑張り続けようと思ってますけどね。
テリー いや、それがいいと思うね。今は貴族キャラに加えて、文章という武器も加わったんだから、それを生かすといいかもしれないね。「一発屋芸人列伝」みたいなルポが書けるってことは、男爵は世の中の見方がしっかりしているってことだからさ。例えば、「男爵、町を行く」って番組なんかどうかな。
山田 へえ、どういう番組ですか? ぜひ詳しく聞かせてください。
テリー 男爵がお城から抜け出して、いろんな町を見て歩いたり、町の人と触れ合うことで市井の動向を勉強する、みたいなコンセプトかな。貴族の目を通して「あ、最近はこんなものがはやってるんだ」みたいな気づきになる内容で、バラエティーなのか、それともニュース番組なのか、まだよくわかんないけど(笑)。
山田 はァ~、それはアリかもしれないですね。ニュースをネタにした「時事貴族」みたいな。
テリー そうそう、そういうの。それを実現させるにも、まずは今回の書籍をしっかり売らないとな。じゃあ、最後にもう1回宣伝しておこうか。
山田 ありがとうございます。「こうやったら10億稼げます」みたいなハウツーものでもなければ、いわゆるサクセスストーリーの類いではないですけれど、一発屋たちの人生はテレビから消えていても今なおずっと続いていることを、読んで感じ取ってほしいな、と思っています。
テリー この本が売れちゃったら、忙しくなるよ。
山田 いいですねェ、今まで「一発屋だ」って言われて寂しい思いをさせられた分、これからは担当の人から「お願いしますよ! 締め切りが迫ってるんです」なんて、せっつかれてみたいです(笑)。
◆テリーからひと言
一発でも売れるってことは、間違いなく才能があるということ。文章仕事も好評だけど、ぜひ「男爵、町へ行く」も実現させてください。