使用する歯ブラシは一般に市販されているものでOKで、
「普通の3列タイプで、最初は柔らかめのものを使い、慣れてきたら徐々に硬いものに変えていってもかまいません。市販の歯ブラシは各メーカーによって基準がまちまちなので、いろいろ試してみて、自分に合った硬さを選んでください」
ただし、山切りにカットされたタイプは避けるべきだという。
「山切りカットというのは、先端が入るところは磨きやすい、というだけのこと。そうじゃないところは逆に磨きにくいので、できれば避けるべきですね」
磨く順番は記者の場合、最初は気になるところから入念にやってしまうのだが、
「基本は『悪いところはいちばん最後に磨く』こと。腫れている場所や血が出ている場所など、傷になっているところをさらに傷つければ当然、そこからバイ菌が入る。したがって、そこから磨いてしまうと、いつまでたっても腫れが引かなくなります。それだけ注意すれば、他の手順は前歯からでも奥歯からでも、自分のやりやすい順番で大丈夫。やりやすい場所だけ磨いて終わりにならないよう、順番を決めて磨くことをお勧めします」
もう一つ、記者はここ2年ほど、電動歯ブラシを使っている。よく磨けている気がしてなかなかいいと思うのだが。
「模型に色を付けてどれくらい落ちるか、という実験をした場合、確かに電動歯ブラシは落ちるように見えます。ただ、あれは歯茎のことを一切考えていない磨き方なので、かなりハードだし、雑です。結局、あれを使い続けると、雑な磨き方になる可能性は高い」
また、歯間ブラシも、歯の隙間の三角状になっている根元の隅っこには届かない場合が多く、使用することで隙間が大きく開いてしまうため、医師に相談したほうがいいという。
取材から1週間。洗面所にあった歯磨き粉を処分し、電動歯ブラシから普通の歯ブラシに持ち替えて、唾液だけで「フォーンズ法」と「突っ込み震わせ磨き」を実践したところ、驚くなかれ、3日目にして右前歯周辺からの出血が止まった。腫れも引いて、心なしか歯茎が引き締まってきた感じがする。
「歯周病は生活習慣病です。なので、サプリメントや薬を飲んで治る病気ではありません。歯周病治療のための基本は、血液循環改善と細菌除去ですから、『軟毛ブラシ・弱圧・微振動・長時間』が歯磨きの基本。急がば回れの気持ちで、じっくり取り組んでください」
間違った歯磨きで突然死など、絶対に避けたい。そのためにも、歯周病治療にはきちんと軌道修正した最初の一歩が大切なのだ。