伝統ある名物重賞、七夕賞が福島2週目のメイン。ハンデ戦であり、毎年、白熱したレースが繰り広げられていて、今年もクセ者ぞろい。いずれの馬が勝っても納得してしまいそうだ。
今回は牝馬の挑戦が多い。6月に阪神で行われたマーメイドSを使ったキンショーユキヒメ、レイホーロマンス、ワンブレスアウェイの面々だ。ここでは牡馬と渡り合うだけに、ハンデはそう重くはならなそうで、この3頭が勝負のカギを握っていると言えなくもない。
そして“マイネル軍団”から3頭。マイネルサージュ、マイネルフロスト、マイネルミラノで、これらもハンデしだいでは好勝負と見ていいだろう。
ということで、馬券的におもしろく、見応えある一戦になること請け合いだ。人気どおり収まりにくいのは毎年のこと。02年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、その馬単で万馬券になったのは6回(馬連5回)。この間、1番人気馬は4勝(2着3回)、2番人気馬は1勝(2着2回)。1、2番人気でのワンツーは一度もなく、中穴傾向のハンデ戦と言っていいか。
牝馬をどう評価するかがポイントと前述したが、これまでも出走頭数が少ないわりにはよく連絡みしている。軽く見るのは断固禁物である。
しかし、いちばん活躍しているのは6歳の牡馬、そして5歳の牡馬だ。競走馬として完成期を迎え、最も充実しているからだろう。そうした観点から浮かび上がって見えるのが、6歳牡馬のマイネルサージュだ。
早くからその素質を高く評価されながら、気性難が抜けきれず、期待を裏切り続けてきた。しかし、昨秋に放牧して完全休養させたのが功を奏した。心身ともにリフレッシュされ、一皮剥けてたくましくなったのだ。
「今期初戦となった白富士S(3着)から馬が変わった。前走の福島民報杯(1着)などは期待どおり。昨年までのサージュと思ってもらっては困る」
こう言ってヤル気のほどをにじませるのは鹿戸調教師だが、なるほど、1週前の追い切りは、併せ馬で軽快かつリズミカルな動きを披露。手綱を取った津村騎手が「実にいい雰囲気」と好感触を得ていたほどだ。
福島コースは【2】【2】【1】と相性抜群で、ハンデは恐らく前走より1キロ重い55キロまで。道悪もさして苦にせず、晴雨にかかわらず中心視してみたい。
中京のメインは、ダートで争われるプロキオンS。こちらも顔ぶれはよく、最も狙ってみたいのは、ドライヴナイトだ。
前走は5カ月ぶりの実戦。先手を奪って果敢に逃げたが、最後は息切れして4着に敗れた。それでも勝ち馬とコンマ5秒差なら評価していい。
この中間は馬体が締まって毛艶がよく、稽古での動きはガゼン、素軽くなっている。1週前の追い切りの動きも実によかった。
「本来の姿に戻っている。昨年の秋から目に見えてよくなった。これからも楽しみ」とは、厩舎スタッフが口をそろえるところ。
逃げてよし、差してよしと自在な脚質で、展開に左右されないのが強みだ。
祖母スカーレットリボンは重賞勝ち馬で、ダイワメジャー(天皇賞・秋などGI5勝)、ヴァーミリアン(JCダートなどGI9勝)ほか、近親、一族に活躍馬が多数いる良血。
勝ち鞍6勝の全てがこの1400メートル戦であり、ここはまさに狙っていたレースと言っていいだろう。
逆転候補としてあげたいのは、ダノングッドだ。こちらはダノンレジェンド(JBCスプリント)の弟で、ダートはお手のもの。ここにきて調子を上げており、チャンスがあっていい。