この夏、殿の“カツラKGBぶり”が止まりません。
ここで改めて、カツラKGBとは? 説明します。
殿のカツラ好きが高じて立ち上げた秘密結社であり、その活動内容は、「K=カツラ」、「G=ガンガン」、「B=バラス」をモットーに、何食わぬ顔でハゲ上がった頭に人工毛を装着している、偽装頭タレントを見つけては、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)の精神で情報交換をして、カツラタレントリストを作り、そのリストを可能な限り公表する、極めて悪質な暴露団体です。
以前、こちらの連載でも書きましたが、とにかく殿はカツラが大好物であり、新たなカツラタレントを発見すると、猛烈にテンションが上がり、子供のようにハシャぎます。つい先日も、
「おい、また見つけたぞ! こないだN○Kの海外のニュース見てたらよ、○○特派員の○○ってヤツの頭が怪しかったんだよ。あれは絶対カツラだな。お前、ちょっと調べといてくれ」
と、ハイテンションで調査を指示したのです。
そんな会話をした4日後、やはり殿からの“カツラ密告”がありました。時は夜、場所は殿がレギュラーを務める生放送番組のスタジオ。生放送がスタートして30分程した頃、少し長めのVTRが流れ、自分の顔がテレビ画面に映ってないとわかった殿は、おもむろにマネージャーを呼び寄せ、何やら耳打ちをしたのです。すると、そのマネージャーは駆け足でスタジオの隅にいたわたくしの元へやってきて、ひそひそ声で、
「殿から伝言です。『さっきVTRに映った、政治家の○○の頭が怪しいから、ちょっと注意して見といてくれ』だそうです」と告げたのです。そして、伝言を聞いたわたくしが殿のほうを見ると、殿はこちらに視線を向け、“よろしくな”といった感じで、小さくうなずいたのでした(生放送中、いったい何やってんだ!)。とにかく、カツラは見逃さない! それがビートたけしです。
そんな殿の発案により、1年程前からスマホでプレイする無料アプリ「カツラ飛ばしゲーム」をただ今制作中です。ゲームの内容はいたってシンプル。次々と現われる、おっさんたちの中にカツラ着用者が紛れていて、それを見つけ出してはカツラを引きはがして飛ばす単純なゲームです。
ただ、同じ顔のおっさんが出てきては面白みに欠けるため、サラリーマン風のオヤジ、肉体労働者風のオヤジなどなど、出てくるおっさんの格好や顔立ちを変えて登場させ、そんなオヤジたちに混じって“カツラ装着タレント”にやや顔の似たキャラが登場する仕組みとなっています。
で、そんなゲームの試作画面を見た殿が、まず漏らした感想が、
「この○○さん(カツラ装着タレント)の顔をよ、もっとはっきりわかるくらい似せちゃえよ。どうせ文句言ってこねーから。だって文句言ったら、カツラを認めたことになるからよ」
でした。改めて、殿のカツラ検閲ぶりには、頭が下がります。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!