同じく織田氏が選ぶ、「新・3大球界の迷シーン」。
「まずは、米マイナーリーグ・ブルーミントンの3番打者ビル・ブリベリックの『幻のホームラン6連続記録』。1本目はレフト方面に放ち外野フェンスの最上部に当たり二塁打となりましたが、このフェンス、前日に高さを3フィートから10フィートに改修したものだった。さっそく翌日“2本目”を打ったが、今度は直後の猛烈な雨で試合は打ち切りに。その7日後、レフトに特大のホームランを放ちベンチに戻ったが、なんと三塁を踏み忘れてアウト」
長嶋茂雄ばりの三塁踏み忘れの4日後、めげずにレフト線ギリギリに叩き込んだが、今度は審判の判定を見守っていた前の走者を追い越しアウト。5本目は打順間違い。6本目は延長15回裏で放った3ランだったが日没のため、回の途中で試合打ち切りとなった。
日本では、広島が初優勝を決めた75年の阪神戦でベンチ入りしながら古葉監督の胴上げに参加できなかった大野豊(57)のこんなシーンが。
「最終回、大野は日本シリーズに備え、ビールで濡れてカゼをひいては大変とユニホームの下にウインドブレーカーを着にロッカールームへ戻った。マウンドには抑えのエース江夏。1アウトでしたが、2、3分で試合終了はないと大野は思ったんです。ところが、江夏は大野が着替えている間に佐野を併殺に打ち取ってゲームセット。ベンチに戻り、慌てた大野は胴上げの集団に走ったが、輪の中に入った瞬間、胴上げは終わった(笑)」
かつてのパ・リーグの名審判・二出川延明が言ったとされる「俺がルールブックだ」という名セリフはあまりに有名である。が、実はこの言葉の裏にも秘話があったという。
「大毎戦の二塁上のフォースプレーの判定に食い下がる西鉄・三原監督に、『俺が言っているんだから間違いないんだ』と言い放ったのがいつの間にか『俺がルールブックだ』にすり替わった。当時の新聞記者が脚色したんですね」
続いては、「大相撲の新・3大伝説」を現役力士Xに明かしてもらおう。最初にあがったのは00年5月場所7日目、朝ノ霧─千代白鵬戦である。
「この一番、取組の最中、朝ノ霧のマワシが急に緩み、行司の待ったも間に合わず陰部が露出。鳴戸審判長(元横綱隆の里)から物言いがつき、『東方力士の前袋が落ちたので西方力士の勝ちとします』と場内に説明した。対戦の結果はロイター電で世界に打電され、日本ではもろざしならぬ、もろだしとスポーツ紙の1面を飾った。朝ノ霧は恥ずかしさのあまりか、翌年引退しました」
イチモツネタといえば、「大相撲の世界には人間離れした巨根の持ち主がいましてね。大鵬親方の兄弟子に当たる二所ノ関部屋の呼び出しは、モノが大きすぎて収める鞘が見つからなかったそうです。何しろ大鵬さんが現役時代、これを見ないと連勝が止まると、風呂場で巨根を拝んで場所入りしていたくらい(笑)」
さらには、こんな奇跡のカップルもいた。
「八角親方(元横綱北勝海)の2番目のおかみさんはかわいい感じの人ですが、その子供の名前が振るっていた。長男は一徹、長女は明子。親方の本名は保志ですから、まるで『巨人の星』。今は夫婦仲も円満です」