先日、殿の書き下ろし小説「フランス座」が発売されました。殿が今年、小説をハイペースで出版されているのは“たけし信者”の皆様なら、周知の事実でしょうが、とにかく今年の殿は、書いて書いて書きまくっていた1年でした。
ちなみに現在の殿の創作活動サイクルは、
「夜中にアメフトなんか見ながら小説書いて、飽きたらピアノ弾いてよ。たまに絵なんかも描いて、それで疲れたら、ひっくり返って寝ちまうんだ」
だそうです。当然ですが、昼は自身のレギュラー番組の収録に、取材やら打ち合わせやらと、恐ろしく多忙な1日を終えてからの真夜中の創作活動です。つくづく、恐ろしい71歳です。
で、この後も続々と小説が発表される殿が最近、もっぱら漏らす意気込みは、
「ちきしょう! こうなったら直木賞と芥川賞、2つを獲ってやる!!」
です。もちろん、殿なりの“毒ガス的ボケ”を含んだ、周りを楽しませるための発言ですが、にしたって、殿ならやりかねない。そう思えて仕方がありません。
そんな殿に“なぜにそれほどまでに文学賞を欲しがるのか?”と、改めてお聞きすると、
「コントのために欲しいんだよ。もし、芥川賞なんか獲ったら、文豪コントができるだろ? 髪の毛ボサボサで、和服なんか着たジジイが『違う違う! これも違う!』なんて言いながら、原稿用紙破いたりして始まる、くだらないコントができるじゃねーか。だから欲しいんだよ」
と、サラッと回答していました。そういえば殿は以前、日本人の映画監督では39年ぶりとなる、ベネチア国際映画祭でグランプリを獲得した時も、
「これでバカな監督コントができるな。だってホントに映画監督やって賞獲っちまったんだから、もう誰も文句言えねーだろ」
と、言っていたこともありました。ちなみに、殿が何のコントをしようが、面と向かって文句を言ってくる方は、もうすでにいないと思われるのですが‥‥。
それはさておき、殿のこの“お笑いをやるために地位を上げる”的考えは、昔から終始一貫しています。
かなり昔にも、
「もうよ、お笑いのためにどんどん偉くなりてーんだよな。だってよ、大統領が階段踏み外してコケたら、みんな笑っちまうだろ?お笑いはギャップだから、ガンガン偉くなって、じゃんじゃんボケてりゃ、みんな笑うんだから。そのためにも、もらえるもの(勲章とかのことを言っています)は病気でももらいたいね」
と、言っていたことが何度もありました。
ただ、わたくしから見て、殿はもう十分に偉く、地位も名誉もしっかりと兼ね備えた“規格外の人物”であると思うのですが、本人はまだまだ足りないらしいのです。最後に、殿から読者に最新のメッセージを頂きました。
「お前たち、『フランス座』買え!」
だそうです。何卒、よろしくお願い申し上げます。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!