女子テニス世界1位の大坂なおみが2月19日のドバイ選手権で、まさかの初戦敗退を喫した。2回戦から登場した大坂は世界67位のクリスティナ・ムラデノビッチ(フランス)に3-6、3-6のストレート負け。世界1位に上り詰めてから初の試合を勝利で飾ることができなかった。
その大坂は先日、2年間タッグを組んでいたサーシャ・バインコーチと決別。ファンやメディアからはこの別れが今回の敗戦を招いたとの声もあがっている。だが大坂の敗戦はむしろ、近年の女子テニス界におけるトレンドに沿ったものだというのだ。スポーツライターが指摘する。
「このところ、グランドスラムに勝利した選手がスランプに陥るパターンが続出しているのです。16年の全仏でGS初優勝を果たしたガルビネ・ムグルサ(スペイン)は、次戦のマヨルカで初戦敗退。翌17年には全英でふたたびGSで優勝するも、昨年はランキング10位から陥落しています。また、シモナ・ハレプ(ルーマニア)は昨年の全仏にて悲願のGS初優勝を飾りましたが、続く全英では格下の謝淑薇に3回戦で敗退。全米では1回戦負けを喫し、さらには背中の負傷により年末のWTAファイナルで欠場を余儀なくされました」
ほかにも07年の全米オープンでGS初優勝を果たしたスローン・スティーブン(アメリカ)は、翌年の全豪と全英で1回戦負け。16年にGSで2勝を挙げたアンゲリク・ケルバー(ドイツ)は、翌年の全仏と全米で1回戦負けに終わっている。
「女子テニスはここ3年、絶対女王が不在の戦国時代を迎えています。大坂よりも前にGSを連覇したのは、14年全米~15年全英で4連勝の“セリーナ・スラム”を達成したセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)までさかのぼり、そこから13大会はすべて優勝者が異なっていました。このように各選手の実力が拮抗している現在、大坂がドバイで1回戦負けを喫したことにも、大騒ぎする必要はないでしょう」(前出・スポーツライター)
世界67位に負けた大坂だが、彼女自身も昨年第1週のランキングは世界68位に過ぎなかった。日本のファンは急成長を遂げた大坂に対し、期待が過ぎるのかもしれない。
(金田麻有)