例年になく熱気を帯びたプロ野球のキャンプが大詰めを迎えた。盛り上げているのは「ビッグ4」と呼ばれるドラフト1位の高卒ルーキーたちだ。スポーツメディアは連日、絶賛記事のオンパレードだが、実はそれぞれに重大な欠陥が隠されていたのである。
今春のプロ野球キャンプでは異常とも言える現象が起きていた。中日の2軍がキャンプを張る沖縄・読谷は、例年なら数えるほどしか観客がいないが、今年は連日、数百人のファンが詰めかけている。目当ては1月下旬の自主トレで右足ふくらはぎに肉離れを起こし、2軍スタートとなったスーパールーキー・根尾昂(18)だ。
集まったのはファンだけではない。有名OB、評論家までが、ふだんならめったに行かない2軍キャンプに集結し、そのセンスを絶賛。一方で多くの評論家が一言、二言、アドバイスを残していくものだから「それが不安」と中日の球団関係者をヤキモキさせているのだ。クレバーな根尾は、現役時代をよく知らない大先輩たちのアドバイスに対して「勉強になります」「参考になりました」「映像を見ました」と、まずは丁寧に反応している。
「プロに入って潰れる顕著な例は、右も左もわからないルーキーがコーチや評論家にああだ、こうだと言われ、指示を聞いているうちに自分を見失うパターンです。根尾は、頭がいいので表向きは礼を言いながら取捨選択ができるタイプ。大丈夫だとは思うのですが、周囲が騒がしすぎますね」(球団関係者)
本来なら首脳陣が根尾をガードすべきだが、2軍にまで押しかけられては、そうもいかない。まだ若い小笠原道大2軍監督(45)、森野将彦2軍打撃コーチ(40)では、大物たちからの防波堤になれないのだ。
足の回復も予定以上に遅れ、すでに開幕1軍は絶望的だ。そして、それ以上に不安を募らせる重大欠陥疑惑までが浮上している。球界関係者が明かす。
「足のケガを考慮して根尾は別メニューとなり、至近距離でのスナップスロー練習を連日行っていますが、何球かに1球、とんでもない悪送球をするんです。突拍子もないボールで、至近距離からなのに加減ができない。『これ、ひょっとしたらイップスかもな』と、何人かのチーム関係者がつぶやいています」
イップスとは、原因不明の“心理的な病”で、思ったところに投げることができないといった“症状”が出てしまう。プロ野球選手の場合は、近い距離にコントロールできないケースが往々にしてある。選手としては致命傷となりかねない欠陥だ。
「根尾の守備に関しては、荒木雅博2軍内野守備コーチ(41)、立石充男巡回野手コーチ(61)が付きっきりで特訓を行っていますが、真の狙いはイップス矯正にあると噂されている。根尾は、高校時代に最速150キロを投げるピッチャーとショートとの二刀流でしたが、ピッチャーのスローイングと、内野手のスローイングはまるっきり違うため、その修正に時間がかかって、イップスの原因になっているのではないですか」(球団関係者)
根尾は、同じ中日の高卒1年目にショートのレギュラーを獲得し、新人王、ゴールデングラブ賞を獲得した立浪和義氏(49)と比較されることが多い。しかし重大欠陥を克服できなければ、ショートのレギュラーどころか、内野を守ることさえ無理かもしれない。
「与田剛監督(53)は、広島の田中広輔(29)、菊池涼介(28)のように、根尾と京田陽太(24)でセカンド、ショートを固めたい。どちらかをセカンドにコンバートさせる考えで、布石として昨年セカンドでブレイクした高橋周平(25)を三塁に戻しています。それもイップスが治らなければ、外野手への転向も捨てきれなくなった」(スポーツ紙デスク)
一ルーキーの不安が、新監督の描くチーム再建プランまで左右しているのだ。