テリー この前出た「ピコ太郎のつくりかた」という本にも詳しく書いてあるけど、あらためて「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」のヒットについて教えてもらえるかな。
古坂 お金はないけど人脈だけは豊かに持っていたので、まず同期・後輩の芸人や芸能人の知り合いに、「ちょっと本気で仕掛けたいものがあって、動画を(2016年の)8月25日に上げるから、よかったらその日にリツイートしてくれない?」って連絡したんですよ。彼らはそれぞれ数多くのフォロワーがいるので、すぐに50万人ぐらいの人が動画を見てくれたんです。
テリー おお、Twitterの拡散力はハンパじゃないなァ。
古坂 双子の人気モデル「りかりこ」がピックアップしてくれたことで、女子高生を中心にバーッと広がって、さらに海外の「9GAG」という世界のおもしろ動画が集まるサイトがピックアップしてくれたおかげで、世界中にピコ太郎の曲が拡散したんです。
テリー 雪だるま式にどんどん大きくなるわけだ。
古坂 そこから海外の取材を受けることもあったんですが、動画アップから1カ月後のジャスティン・ビーバーのピックアップはケタ違いでしたね。その瞬間にCNNやBBCから「ぜひうちの番組に出てください」という依頼がバンバン来ましたから。テリーさん、どうやらあの人、本当に人気があるみたいですよ。
テリー アハハハハ、言われなくても知ってるよ!
古坂 そういう状況になって、僕がエイベックス所属だったのは幸いでした。なにしろ国際部がありますし、海外支社もありますからアメリカ、イギリス、アジア、フランス、スペイン、どこにでも行けるんです。普通のお笑い事務所だったら、そんなことできなかったでしょうね。
テリー じゃあ、海外での活動も多いんだ。
古坂 はい。この2年半ぐらいで20カ国ぐらい回っていますね。
テリー そんなに!? 向こうでは、どんなことをしているの。
古坂 バラエティー番組に出演したり、歌ったりです。台湾やフランスでは、1万人ぐらいの前でワンマンライブもやりました。もっとも、通訳の方に横にいてもらって、ほとんどしゃべっているんですけど(笑)。
テリー 1曲が短いんだもんね。
古坂 そうなんですよ。でも、最初から「1分で終わります」ってフリで言っていますし、きっと1分以上やっても飽きちゃうでしょうから(笑)。今、インターネットの動画って、よっぽどのものじゃないと、5秒も見てもらえないんです。
テリー それって、我慢のできない人が増えたってことなのかな?
古坂 これは僕の実感ですけど、例えば牛丼チェーンに行った時は牛丼を一生懸命食べると思うんですが、これがホテルのビュッフェになると、いろいろなものをちょこちょこと食べたくなるじゃないですか。それと同じで、ネットに情報がありすぎて、みんな1つのものに集中している時間がもったいないと思っているんじゃないでしょうか。
テリー なるほどね。
古坂 テリーさんはその辺り、どう考えていますか。
テリー でも、1分半の動画を見せるのは、同時に1分半のクオリティですよ。視聴者は欲張りだから、1分半の動画と2時間ドラマ、両方が見たいはずだよ。
古坂 僕も、必ず今の状況の反動があるような気がしていて、今後ちょっと長い動画を用意しようかと思っているんですよ。
テリー 世間の動きの先の先を読んでいくわけだ、さすがの慧眼だね。