令和を前にしての平成最後となる天皇賞・春。伝統あるこのGIが、どんな展開になるのか胸躍る一戦だが、古馬一線級が長丁場に活路を求めないこともあり、期待とは裏腹に、顔ぶれは例年に比べて、やや見劣ると言わざるをえない。
重賞2連勝中のシャケトラが最有力候補とみられていたが、1週前追い切りの際、左第1指骨粉砕骨折を発症し、予後不良の診断。安楽死となったのは残念でならない。
そのシャケトラと互角、あるいはそれ以上の評価があるフィエールマンは、休み明け。予定のローテーションとはいえ、全幅の信頼を寄せ切っていいものかどうか。菊花賞馬であり、長丁場はお手のものだが、少しばかり疑いの目を向けてみたくなる。
他の有力どころもしかりで、この天皇賞・春は、少しばかりつかみづらいところがある。各馬一長一短、絶対視できる馬がいないとなれば、馬券的にも簡単ではない。
そもそも、よく荒れるGIだ。03年に馬単が導入されて以降、これまでの16年間、馬単での万馬券は半数の8回(馬連では7回)。見かけによらず難解なGIであることがわかる。
1番人気馬は2勝(2着1回)と振るっておらず、対して2番人気馬は6勝(2着2回)。1番人気馬よりも信頼性はあるが、かといって、2番人気馬を中心視するべきとも言えまい。
ただ、これから充実期に向かう4歳馬は、やはり強い。頭数で勝る5歳馬を連対率でしのいでいることは留意すべきだろう。
いずれにせよ、4、5歳馬が圧倒的。6歳馬もよく善戦しているが、古豪に多くの期待は寄せづらい。
それにしてもあらためて強調するようだが、今年の顔ぶれはやや小粒だ。
フィエールマンに負けない評価があるエタリオウとクリンチャーは、前者の前走が55キロ、後者が56キロ。今回は58キロを背負っての競馬になるわけで、このへんが大一番だけに大いに気になるところである。
断じて人気どおり決まらない!
そうみて、穴党として期待を寄せてみたいのは、パフォーマプロミスだ。
こちらは57キロの斤量で走った前走の京都記念で、勝ち馬とはコンマ1秒差の4着。強烈に強いイメージはないが、とにかく堅実。そして相手なりに走る勝負根性が魅力である。
すでに7歳。4、5歳馬が圧倒的なGIで、この馬を推奨するのは筋違いとみられて当然だが、ひ弱さがつきまとっていただけに、大事に使われてきたことを見逃してはいけない。
とにかく年齢に反して肉体的に若いのだ。それは使ったあと、しっかりとケアされてきたたまものだが、藤原英調教師は「衰えがないどころか、ようやく馬体がしっかりしてきて、これからまだよくなっていい馬」と、オクテであることを強調する。
なるほど、そんなひ弱さがありながら、デビュー戦(未勝利)を圧勝したほどの馬。休み休み使いながらも着実に勝ち星を重ね、オープン昇級初戦の日経新春杯をモノにしたほど。どれだけの能力を秘めているかは、推して知るべしだ。
前々走の有馬記念は、調整がうまくいかず凡走(14着)したが、続く前走の京都記念はあわやの4着。だからこそ、順調そのものの今回は、大いに期待していいことになる。
1週前の追い切りも軽快で文句なし。前走以上の状態と言ってよく、まずは力を出せる仕上がりにあることは間違いなしだ。
シルクプリマドンナ(オークス)ほか近親、一族に活躍馬が多くいる良血。好走必至とみて間違いない。