エンタメ

ザ・ベストテン「視聴率40%の伝説」(6)「1位のお祝いに一面の雪」

 デビューから30周年を迎えた杉山清貴は、記念のツアーを「ファンからのリクエスト曲」を中心に組んだ。その上位を紹介するコーナーには、効果音として「ザ・ベストテン」と同じものを使った。

「ツアーの終盤からベストテン仕様にしましたが、冒頭のファンファーレとか、発表の瞬間のカタカタカタカタ‥‥ってランキングボードの音とか、やはりお客さんの盛り上がりが違いましたね」

 デビューは杉山清貴&オメガトライブというバンド編成だった。デビュー曲の「サマー・サスピション」(83年4月)から早くもランクインを達成。以降も多くの曲でベストテンの常連となった。

「オメガトライブは2年8カ月の活動で7枚のシングルを出しているんです。新曲が出たらすぐにチャートインしていましたから、歌詞を間違えちゃいけないとか、テレビサイズに縮小したアレンジに慣れないといけないとか、そんな繰り返しでしたね」

 バンド時代はすべてのシングルが「作詞・康珍化、作曲・林哲司」によるものだった。そのため、自分たちが売れたというより、楽曲が売れているという傍観者的な思いがあった。

 それでも「ふたりの夏物語」(85年3月)が、ついにベストテンの1位に立った日は感慨もひとしおだった。同曲は12週もランキングに残り、圏外に落ちた週には新曲の「サイレンスがいっぱい」(85年5月)が入れ替わるように登場している。ここで初めて「売れることの凄さ」を実感したという。

「アマチュアで観ていた時代には、寺尾聰さんの『ルビーの指環』が打ち立てた12週連続1位に感動して。そんな番組に自分たちが出ているなんて、夢にも思わなかったですね。初めて出た時は、寺尾さんの記録を記念した深紅のシートを探しましたから」

 実は杉山自身も番組の記録を持っている。バンドとソロの両方で1位を獲得したのは杉山と氷室京介(BOφWY)だけで、実際にスタジオで歌ったのは杉山ただ1人である。

 ソロとしての1位は、今なおクリスマスの名曲として歌い継がれる「最後のHoly Night」(86年11月)だった。バンド時代と違い、ソロになってからは作曲のクレジットに名を連ねている。これまで以上に「自分の歌」への評価だと思った。

 そのことに加え、ベストテンが用意した“サプライズ”にも喜びを感じた。

「初めて1位になった回はスタジオ一面にスノーマシンを使って、大量の雪を降らしてくれたんですよ。いつもベストテンのセットは楽しみにしていましたが、歌手としてありがたいなあと心から思いました」

 間もなく発売するアルバムは、オメガトライブからソロにかけての軌跡をセルフカバーしたものである。タイトルの「I AM ME」には、杉山とともに歩んだ歌への感謝が込められている。

〈文中敬称略〉

カテゴリー: エンタメ   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
大谷翔平「3度目のメジャーMVP」でもかなわない「凱旋帰国」の高すぎるハードルと「出禁」問題
2
大谷翔平「MVP受賞映像」で「真美子夫人の妊娠説」が噴出したワケ
3
なんだこりゃ!岡田将生の電撃結婚を「完全スルー」した「めざましテレビ」の担当は元カノ鈴木唯アナ
4
東京ドームで観客半分の「プレミア12」にサッカーファンが「シラケる」挑発バトル
5
マイルCS大的中の馬券師が断言!ジャパンカップ「勝つのはドウデュース以外の日本馬」「買える外国馬は1頭だけ」