テレビ画面ではない。見上げる角度の巨大なスクリーン上で、豊かな胸が乱舞するシーンを見ることは、男にとって無上の喜びである。
世界に誇る「ゴジラ」(54年、東宝)の第1作では、山の向こうに忽然と現れるゴジラの姿がインパクトを放った。
それから40年後、高岡早紀(46)が初脱ぎを見せた「忠臣蔵外伝四谷怪談」(94年、松竹)も、これに匹敵する衝撃だった。モットーが「映画は女優で見る」と言う映画評論家の秋本鉄次氏も、その時の興奮を隠さない。
「試写室でどよめきが起こるという異例の事態でした。アイドル女優の時代から隠れグラマーとの噂があったが、同時期に発売されたヘア写真集とともに、一挙にベールを脱いだ形です」
映画の開始から52分後、どよめきの場面は訪れる。タライ入浴するお岩役の高岡。横向きの位置で細い手足だが、想像をはるかに超えた巨大なそそり立つバストが映し出されたのだ。
東映の女番長シリーズなどで活躍した池玲子(66)は、90センチの見事なバストを武器に、惜しみなく銀幕に全脱ぎを披露した。前出・秋本氏が続ける。
「胸が大きいのはもちろん、口元のほくろが妙に艶っぽかった。そのダイナミックな肢体を堪能できる映画はいくつもあるが、決定打と呼べるのは『仁義なき戦い代理戦争』(73年、東映)でしょうか」
池が演じるのは、広能昌三(菅原文太)率いる広能組の組員・西条(川谷拓三)の情婦・富枝の役。西条にそそのかされて若い組員の猛(渡瀬恒彦)に身を投げ出すが、
「薄暗い電球の下、真っ赤な口紅と肌着からこぼれそうな胸。やがて若い者に乗り換えて『ウチはもう猛のもんじゃけん!』と吐き捨てるセリフも女の情念を感じさせた」(前出・秋本氏)
シリーズの続編となる「新仁義なき戦い 組長の首」(75年、東映)では、アンヌ隊員で知られるひし美ゆり子(72)が魅せた。抱いた男は必ず死ぬという不吉なクラブママに扮し、文太を挑発する。
「あんたは前からね? それとも後ろからね?」
色白で丸みを帯びたバストを見せつけながら迫るのだ。
「彼女も何作かで脱いでいますが、いずれも悲哀を感じさせるものが多い。あのアンヌ隊員が、という感慨も合わせ、見入ってしまいますね」(前出・秋本氏)
10代の頃から早熟な体を見せていた原田美枝子(60)が、最後に濃厚なカラミを見せたのが「火宅の人」(86年、東映)だった。作家・檀一雄の自伝的小説を映画化し、緒形拳の情婦となる舞台女優を演じている。
「映画の後半では松坂慶子(67)のラブシーンもあり、それぞれの艶技を見比べる点でも貴重な作品。胸の迫力においては原田に軍配が上がりますが」(前出・秋本氏)
原田と同時期に脱ぎまくった石田えり(58)は、ハタチの初脱ぎ作である「遠雷」(81年、ATG)の評価が高い。都心近郊の農村を舞台に、若者たちの日常を描いて映画賞をいくつも受賞した。石田は主人公の永島敏行と夫婦になる、明るい農家の娘を演じている。
「モーテルで自分から脱いで、真ん丸の双房で永島に迫っていった。それまでの日本映画における女性は受け身で、自分で主導権を握るという描写は珍しかった。顔だちや体型も含め、イタリア女優のようなたくましさを感じました」(前出・秋本氏)
最近では、「ベロニカは死ぬことにした」(06年、角川映画)の真木よう子(36)を挙げよう。伝説になった「ピアノを弾きながら自分で慰めるシーン」では、推定Gカップの形の良いバストが汗とともに波打つ。
「映画の内容よりも、あのシーンの汗まみれバストだけが突出して記憶に残りました」(前出・秋本氏)
それほどの破壊力が、女優の双丘には秘められている。