阪神を今季限りで退団した鳥谷敬が、11月23日に開催された阪神のファン感謝デーを欠席した。過去、どのチームにおいても、フリーエージェント選手も「球団、首脳陣と対立しての権利行使だとしても、ファンへの挨拶は別の話」とし、ファンの前で元気な姿を見せていた。
今季の本拠地最終戦で見せた“大トリタニ・コール”の再現とはならなかったが、「すぐ決まる」と目されていた移籍先もまったくの進展ナシだ。
「フリーエージェント交渉も終わりが近づき、そろそろ鳥谷の獲得を本気で考えているところも動き始める頃でしょう。でも、『冷静な評価』も聞かれるようになりましたよ」(ベテラン記者)
「冷静な評価」とは、獲得後の“役どころ”だ。「新天地でレギュラーとしてふたたび」とは誰も思っていないというのだ。
「最有力と目されたのがDeNAと千葉ロッテ。DeNAは二塁手が不安定で、そこに鳥谷がはまるのなら、守備に難のあるネフタリ・ソトを外野で固定できます。千葉ロッテはどこでも守れる鈴木大地を失った後なので、という理由でしたが…」(前出・ベテラン記者)
しかし、一年間、スタメンを張る体力があれば、そもそも、阪神も邪険には扱わなかったはず。「正規レギュラーを休ませる時に起用する」というのが、冷静な正しい評価だろう。そうなると、ペナントレースの大半、鳥谷は「代打要員」ということになるが、こんな声も聞かれた。
「鳥谷の代打としての成績は芳しくありません。やはり長くレギュラーを張ってきた選手なので、1試合4打席を与えて結果を出すタイプ。『たまのスタメン』なら、若手で十分。代打でも結果を残せるというアピールが、今季はできなかった」(在阪記者)
今季の代打成績は56打席で14安打(2割5分)。スタメンを含めた得点圏打率でも7分7厘と苦しんだ。シーズントータルでの打点も「4」。たまに守備に入る時、跳ねるように軽快な足取りを見せ、来季39歳を迎える“オッサン”とは思えないほど。「まだできる」の声も多いが、あえて獲得するほどではないと判断されたのかもしれない。
「鈴木大地の獲得に失敗した巨人が『左打ちのバッター』を探しています。新外国人のヘラルド・パーラだけでは心もとないので、『やっぱり巨人?』の声も出ましたが。ファン感謝デーを欠席したことで、阪神に“帰還”して裏方になるのも難しくなりました」(前出・ベテラン記者)
鳥谷の移籍先が決まるまで、もうしばらく時間が掛かりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)