多国籍窃盗団の存在が明るみに出始めたのは2010年頃。兵庫県でヤードを経営する、ナイジェリア人の男が有価証券虚偽記入罪で逮捕された。
このナイジェリア人の男は、盗難自動車を買い取り、ヤード内で解体して自動車部品としてナイジェリアに輸出していた。輸出の際には、日本人の貿易会社社長らと結託。ナイジェリアでの関税の支払いを免れるため、輸出貨物量を過小申告していたという。
この頃から捜査当局は、一部のヤードが犯罪の温床となっていると見て対策に乗り出した。
11年秋には千葉県で、窃盗や盗品等有償譲り受けなどの疑いでウガンダ人を中心とする窃盗グループ56人(うち日本人40人)を摘発。被害は千葉など周辺5都県で計約1600台、総額約19億円相当に上った。
取り扱われていた車種で多かったのは「ユニック車」と呼ばれるクレーン付きトラックや、トヨタの「ハイエース」。
共犯の日本人グループが車を盗み、ウガンダ人が経営するヤードに持ち込んで売買していた。
「ヤードを経営していたウガンダ人は、主犯格である別のウガンダ人の男を頼って来日。男から盗難車の売買について指南を受けたあとに独立経営していました。一方、窃盗の実行犯役だった日本人は経済的困窮から、知り合ったウガンダ人やその仲間内から誘われて加担。ヤード側から車種の注文を受けて車を盗んだり、みずから盗難車を持ち込んだりしていました」(前出・社会部記者)
ところで、近年、都内の繁華街でアフリカ系黒人の違法な客引きが増え、トラブルも絶えないとのニュースが伝えられてきたが、自動車密輸犯罪に関わる黒人たちはそうした連中とはまた違うグループだという。
「彼らの多くは自国で建設機械やプレスなどを扱ってきた専門家だってね。そうじゃないと、密輸をしても販売先がないだろ。そうしたルートを持っていれば、自国企業の金持ちから、買い付けの資金を送ってもらうこともできるからな。金を稼ぎに仲間を訪ねて日本にやってくる。だから、最初は真面目に仕事をするやつも多いってね。それが、だんだん効率のいい悪事に手を染めていくんだ。もちろん、最初から犯罪目的で来日してるやつらだっているよ」(前出・X氏)
日本で金を稼ぐだけ稼いで自国に帰るのが通常だという。
そして、その目的を果たすためには日本人女性を利用するのも常套手段だ。
「都心のクラブなんかで、軽いギャルをナンパしてくるんだよ。ギャルのほうは恋愛のつもりだ。日本人の親は、素性も知れない黒人との交際なんか反対するよな。でもガキを作っちまえば、親も結婚に反対できなくなる。そうすればしめたもので、ビザの取得も容易になるってわけだ。そればかりか、日本人の親は娘と孫のために、その黒人に対してヤードを借りたり、4トントラックを買う資金を提供するようになるってな」(前出・X氏)
断っておくが、真面目に国際結婚をし、正規の仕事として自動車解体に取り組む外国人たちも多い。
とはいえ、一方で悪質な不良黒人にダマされた日本人家族が多く存在しているのも事実なのだという。
「自国に第2、第3の夫人と多くのガキどもを残してきているやつもいっぱいいる。日本で稼いだ金は向こうでは大金だ。送金していれば豪邸が建つ。そして、ヤードの摘発に感づいたら、日本の嫁もガキも捨てて逃げちゃうんだよ。日本人と結婚しているおかげで、船会社や銀行から信用を取り付けて、1億からの融資を受けていたのにドロンしたなんてケースもあるって。残された日本人家族は茫然自失だってな」(前出・X氏)
全国各地で違法なヤードの摘発は続いている。
某県のヤード群の中でも、解体された自動車の残骸だけが無造作に残され、人が出入りしている様子のないところが多々見受けられた。
閑散とした景色が、不良黒人にダマされた日本人家族の心情と重なるのである。