先の弥生賞ディープインパクト記念と並ぶ皐月賞のトライアルレース、スプリングSが中山のメイン。
弥生賞はサトノフラッグの完勝に終わったが、ここはどうだろう。同馬に匹敵する、あるいは、それ以上に評価される馬が現れるのか。いずれにしても、本番を前にして目が離せない重要な一戦である。
弥生賞と同じく頭数は多くないが、各陣営の看板、期待馬がズラリと顔をそろえている。むしろ、こちらのほうが注目すべき素質馬がいるようだ。
GIホープフルS2着のヴェルトライゼンデ、共同通信杯5着から巻き返しを図るココロノトウダイ、ジュニアC勝ちのサクセッション、そして目下連勝中のファルコニアなど、各馬の能力はハイレベルで拮抗しており、いずれの馬が勝っても納得できそうだ。
以前は皐月賞と距離が同じ弥生賞のほうがトライアルとしての評価は高かったが、近年はスプリングSの価値も、かなり上がってきている。
このトライアルを勝ってスターホースとして羽ばたいた馬は、メイショウサムソン(06年皐月賞、ダービー)、オルフェーヴル(11年3冠馬)、キタサンブラック(15年菊花賞)などだが、今年の顔ぶれを見ても、勝ち負けした馬はその可能性が大きいと思われる。
では、どの馬を本命視するべきか‥‥馬券的にもなかなか難しい一戦だ。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は4回(馬連も4回)。この間、1番人気馬は5勝(2着6回)、2番人気馬は3勝(2着1回)。1、2番人気馬によるワンツーは1回のみで、大きく荒れることは少ないものの、それでも簡単に決まりにくい重賞であることも確かなようだ。
悩むところだが、イチオシしたいのは、ファルコニアである。
目下、未勝利─特別と2連勝。使われるたびに体がしっかりしてきてパワーアップ。前走のレースぶりにもかなりの進境著しいものがうかがえ、勢いに乗ってきたのなら、クラシックの出走権を手中にしてくれると思えるからだ。
その前走は、スタートで後手を踏み、それまでと違って後方から。そして4角最後方に近い位置から鋭い末脚で楽勝かとみられた2着馬を差し切ったもの。ケガの功名とはいえ、そのモデルチェンジは高い素質を物語っていた。ノビシロ十分なことから、大きく狙ってみたい。
「まだひ弱さは抜けきっていないが、この中間、さらに良化してきているし、体調もアップ。相手は一気に強くなるが、楽しみのほうが大きい」
こう期待のほどを口にするのは角居調教師だが、中間の調整も万全で、1週前の追い切りの動きも実に滑らかだった。
牡馬にしては440キロ台と馬体は小柄だが、バネの利いた柔らかな体がなんともいい。
母カンビーナは、米GI(アメリカンオークス)勝ち馬で、血統的にも奥を感じさせる馬。直線に坂のある中山コースもさして問題なさそう。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
逆転候補に挙げたいのは、アオイクレアトールだ。新馬戦を勝ち上がったあとは【3】【2】【2】着とイマイチだが、相手なりに走る勝負根性が魅力。
この中間は懸念されていた体重の減りも見られず、いたって順調。まだ1勝馬ではあるが、軽く見てはいけない1頭だ。