GIシリーズに突入だ。今週から4週続くGI戦の最初となる高松宮記念。コロナ禍をぶっ飛ばす迫力満点の電撃戦が展開されること請け合いで、顔ぶれも多彩だ。
昨年、3連単449万馬券を演じた2着馬セイウンコウセイが健在なうえ、昨秋のスプリンターズS覇者タワーオブロンドンも、今期初戦のオーシャンSで3着と万全の出走態勢で臨んでくる。
その前哨戦を制して意気上がるダノンスマッシュ、さらに6ハロン戦は初挑戦となるグランアレグリア、ダイアトニック、ステルヴィオに、出否未定もフェブラリーS勝ちのモズアスコットなど多士済々。
まさに見応え満点で、馬券的にも魅力たっぷりのおもしろい一戦と言ってもいい。
前記した有力どころのいずれかを主力にみるのが馬券の筋ではあるが、ここまで強力なメンバーだと簡単に収まるか、どうか。
まずは過去のデータをひもといてみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの17年間、その馬単での万馬券は5回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は4勝(2着2回)、2番人気馬は3勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回のみで、中穴傾向の一戦と言ってよさそうだ。
年齢的にはイキのいい明け4歳馬より、充実著しい5歳馬が圧倒的。6、7歳の古豪の善戦、活躍も目立っており、なかなかつかみづらいGI戦である。そう考えると、今回の多彩な顔ぶれからして、我ら穴党の出番ではなかろうか。
最も期待を寄せてみたいのは、シヴァージだ。
前走の北九州短距離Sを勝ち上がり、強敵への挑戦。はたして一線級相手にどうかということで家賃が高いとみられ、評価は低いが、だからこそ穴党としては格好の狙い目なのだ。
前走は道悪(重馬場)での勝利で、馬場がこの馬にとって味方したとの見方もある。確かに、もともとダートで活躍を続けてオープン入りした馬。力を要する馬場は合っているとみられても当然だろう。
しかし、初芝となった阪神Cは7着に敗れたものの、続く淀短距離Sでは勝ち馬とコンマ2秒差の4着と好走。そして前走の勝利につながったのだが、近2走とも最速の上り脚を使っている。ということは、速い時計の決着になる良馬場でも十分やれていいのではないか。
父ファーストサムライは、米GIホープフルステークス(ダート7ハロン)などを勝った快速馬で、母の父インディアンチャーリーもスピードを武器に米GIサンタアニタダービー(ダート9ハロン)を制している。ダート血統ではあるが、北米血統でスピード競馬は十分対応できるとみるべきだ。
そもそも、母系は名牝フライングホームに連なる欧州の一流血脈(歴史的名馬ファロス、フェアウェイと同系統)。秘めた力はかなりのものである。
ダートを使っていた際も脚抜きがいい軽い馬場(重、不良)で3戦全勝。このへんからも芝向きであることが判断できる。
実際、野中調教師も「ひ弱さが抜けて、たくましくなった今なら、芝のほうがやれていい。早くから芝を使ってみたかった馬で、だからこそ、芝で結果が出ている」と期待を込めて話していた。
体調も実にいい。1週前の追い切りは軽快でリズミカル。「前走以上の状態」(前出・野中師)というのも十分にうなずける。
中京コースは初めてになるが、強烈な末脚が武器。持ち味を生かすには、直線の長いこのコースは格好の舞台と言っていい。