パソコンやテレビゲームをしていると、目の疲れや肩凝りを感じる。そんな症状に悩まされている人は「VDT症候群」かもしれない。
聞き慣れない言葉だが、VDTは「Visual Display Terminal」の略で、コンピューターのディスプレイ端末のこと。パソコンやスマホなどを長時間使用することで眼精疲労やドライアイなど目の疾患を引き起こすだけでなく、ストレスなど心身にもさまざまな影響を及ぼす。
この「VDT症候群」の患者が急増している。コロナ禍でテレワークが普及。在宅勤務で自宅でのパソコン作業の時間が増えたことが要因だ。加えてスマホやタブレット、テレビなど、ディスプレイ画面を長時間見続けるライフスタイルの変化も拍車をかけた。
「VDT症候群」の原因はパソコンなどのディスプレイ機器が放つ光にある。この輝度が強すぎると視神経に負担をかけ、目の疲れを引き起こすことで心身の不調を発症させる。
パソコン作業を長時間続けると、まばたきの回数がふだんの1/3~1/4に減り、涙の量も減少する。そのため、眼球の表面が乾燥してドライアイになりやすくなる。目の症状だけでなく、長時間同じ姿勢を取っていることで、肩凝りや腰痛など体の痛みにもつながる。進行すると睡眠障害やうつ症状の危険もあるので、眼精疲労が慢性化している場合には、早めに眼科を受診すること。
予防法は生活習慣の改善が最も重要だ。例えば1時間のパソコン作業で10~15分程度の休憩を取ること。パソコン画面が見上げる位置にあると目が乾きやすくなる。目の高さと同じか、目線が画面の上側より下にくるようにパソコンの向きを調整しよう。また時々遠くのものを見て目の緊張をほぐしたり、肩を回すなど適度に体を動かしてディスプレイと上手なつきあいを心がけてほしい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。