炎暑、酷暑の中で繰り広げられてきた夏競馬は終盤を迎えるが、今週の新潟のメインは、この夏にデビューした2歳若駒による新潟2歳ステークス。
施行距離が1200メートル、1400メートルと変更され、マイル戦で争われるようになってからは素質馬が多く出走するようになった印象を受けるが、今回も評判馬が少なくなく、盛り上がりをみせている。
マイル戦になったのは馬単が導入された02年。それ以降、これまでの18年間、馬単での万馬券は7回(馬連は5回)。デビュー間もない若駒による一戦だけに未知数の部分は多く、それが波乱の要素にもなっているのだろう。
とはいえ、評判馬、期待馬はよく勝っており、この間、1番人気馬は半数の9勝(2着2回)をあげている。ただ1、2番人気馬でのワンツー決着が3回しかないように、2番人気馬はわずか1勝(2着3回)と、2着に人気薄が食い込むケースが多い。やはり簡単には決まらない重賞と言ってよさそうだ。
また、出走頭数は牡馬が多いものの、牝馬(7勝、2着8回)の活躍が目立つのも特徴。今年も2戦2勝のブルーバードをはじめ、ジュラメント、タイガーリリー、フラーズダルムといった牝馬勢は要注意と言えるだろう。
前述したように2歳戦は不確定要素が多く、難解で悩ましくもあるが、穴党として最も期待するのは、ファルヴォーレである。
こちらは牡馬だが、暑さに強い芦毛馬。6月にデビューし、3戦目となった前走の未勝利戦を勝ち上がっての挑戦になり、下馬評は低い。しかも牡馬にしては420キロ台の小兵で、見た目、牝馬のような繊細さが感じられる。しかし、断じて軽く見てはいけない。
前走の勝ちっぷりは、なかなかだった。後方で脚をため、直線半ば過ぎから一気に末脚を伸ばしての快勝劇だったが、その鋭い決め手には驚かされた。
今年産駒がデビューし、種牡馬としての評価も高いドゥラメンテ(皐月賞、ダービー)の子というのも魅力だが、母系がまたいい。4代母は70年代を代表する世界的名牝ダリア(キングジョージ6世&クイーンエリザベスS連覇を含むGI10勝)で、ダハール(GI4勝)、リヴリア(GI3勝)など近親、一族に活躍馬が多数いる良血馬。
さらにファルヴォーレ自身、あのサンデーサイレンスの3×4(奇跡の血量)という近親配合。秘めた破壊力はかなりのものと察せられる。
均斉の取れた好馬体の持ち主で、体重減りはなく、この中間も順風満帆。1週前の追い切りも素軽い動きを披露し、抜かりなく調整されている。
高橋忠調教師も「まだ粗削りなところがあり、多分に若さが残っているが、それだけ可能性も高いということ。素質は確かです」と期待感たっぷりに話しており、良馬場条件に大きく狙ってみたい。
一方、札幌ではキーンランドCが行われる。秋最初のGIスプリンターズSの前哨戦であり、注目すべき重賞だ。
こちらも牝馬の活躍が目立ち、牡馬勢を圧倒している。狙ってみたいのは、その牝馬、マリアズハートである。
前走のUHB賞は出遅れて10着。前々での決着だっただけに、最後方からの競馬では苦しく、参考外にしていい。
この中間は、一息入れての再調整。ここを目標に、仕上がり状態は、かなりいい。牝馬にしては馬格があり、強烈な末脚が身上の馬。力を要す洋芝での競馬は間違いなく合っており、初重賞制覇のチャンスとみた。