春の中山開催は2週目。早いものでクラシックの蹄音が大きくなってきた。
今週のメインは弥生賞ディープインパクト記念。牡馬クラシック(牝馬の参戦も可)第一弾、皐月賞のトライアルレースである。
2週後に行われる同じ前哨戦のスプリングS以上に本番との関連性は高く、ここで勝ち負けして皐月賞、ダービー馬に輝いた馬は少なくない。
近いところでは05年ディープインパクト、09年ロジユニヴァース、10年ヴィクトワールピサ、16年マカヒキといったところだが、その後のGI戦で活躍する馬も数多くいる。まさに、ファン必見の重賞と言っていい。
であるなら、今年も勝ち負けした馬は頂点に立つ可能性が大きく、そうした観点で各馬の能力を値踏みすることも必要だろう。
クラシック候補の筆頭格は、目下3戦土つかずのダノンザキッドか。昨年暮れのGIホープフルSを制した2歳王者で、そのスキのない安定した走りっぷりは、特筆モノと言っていい。
そして現在、新馬─特別を連勝中で、名手ルメール騎手とのコンビが特に魅力のシュネルマイスターもヒケを取らないだろう。
ほかにも京成杯2着タイムトゥヘヴン、未勝利戦を好タイムで勝ち上がったゴールデンシロップ、休み明けだった京成杯で3着と上昇が見込めるテンバガーなど、いずれも評価が高い素質馬ぞろいである。
馬券的にもおもしろい一戦だが、まずは過去のデータをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの18年間、その馬単での万馬券は3回(馬連2回)。この間、1番人気馬は9勝(2着3回)、2番人気馬は6勝(2着2回)で、1、2番人気馬のワンツー決着は4回。馬単で万馬券にならなかった年は1、2番人気馬のどちらかが連対を果たしており、本命党向きの堅い重賞と言ってよさそうだ。
まあ、ここで勝ち負けした馬が、クラシックでも好勝負を演じるケースが少なくないため、堅いのは当然と言えば当然か。
とはいっても、今年は前述したように好素材ぞろい。各馬のキャリアの浅さを思えば、意外やどう転ぶかわかったものではない。簡単に人気サイドでの決着となるかどうか、難しいところでもある。
ということで、穴党としては、やはり斜に構えてみたい。期待を寄せるのは、タイセイドリーマーだ。
1勝馬の身だが、強敵ぞろいのここに使ってくるのだから、陣営の期待の大きさ、意気込みのほどがわかろうというもの。
前走の若駒Sは4着。2番手を追走し、いい感じに見えたが、直線で失速してしまった。多分にキャリアの浅さが露呈してのものと思われるが、道悪も影響していたのではないか。
しかし、この中間は順調そのもの。調教では相変わらず軽快な動きを披露しており、状態はさらによくなっている印象を受ける。
実際に厩舎関係者は「まだまだ良化の余地は十分。前走より良化していることは確かで、ここで通用していい素質馬」と口をそろえ、仕上がりのよさを強調する。
ハーツクライ産駒で、アカ抜けた好馬体の持ち主。伯父ジェイビーズサンダーは米GI勝ち馬で、血統的にも秘めた力は十分とみていいだろう。良馬場での一発があっていい。
ワンデイモアもおもしろい。未勝利─1勝クラス平場を連勝中で、その強烈な末脚は魅力たっぷり。一族にメジロティターン(天皇賞・秋)、メジロライアン(宝塚記念)がいて、この馬も奥は十分だ。