スプリングSと並ぶ中山での皐月賞トライアルレース、弥生賞が今週のメインだ。ファン必見の重賞と言っていいが、出走頭数がきわめて少ない。
伝統ある一戦であり、同じ舞台で行われる皐月賞だけではなく、クラシックに直結するだけあって、素質確かな大物、評判馬ばかり。だから、少頭数でも見応え満点の力のこもった一戦になること請け合いだ。
それにしても10頭にも満たない出走頭数。ここまで顔ぶれがいいと、いくら素質馬を抱えていても、のちのダメージを考えて無理を避けたいと判断する陣営が多いのも当然だ。
それにしても、この皐月賞トライアルを踏み台に出世する馬は多い。今年で55回を数えるこのレース。名をあげればきりはないが、近年では05年のディープインパクト(3冠馬)を筆頭として、アドマイヤムーン(ジャパンC、宝塚記念、ドバイデューティF)、ロジユニヴァース(ダービー)、ワンアンドオンリー(ダービー)、サトノクラウン(香港ヴァーズ)、そしてマカヒキ(ダービー)など、ここで勝ち負けして名を成した馬は実に多い。
それだけに、この中にクラシックを制する馬が隠れていても何の不思議もない。だから馬券的にも、そうした視点で勝ち馬を探り出すべきなのだろう。
馬単が導入されて以降、これまでの15年間、1番人気馬が8勝(2着2回)、2番人気馬は5勝(2着0回)。馬単で万馬券になったのは2回(12年、13年)のみで、それ以外の年は1、2番人気馬のいずれかが必ず連対を果たしている。
今年はどうか。3戦3勝のワグネリアン、ダノンプレミアム(GI朝日杯FSの覇者)、そして2戦2勝のオブセッションが人気を分け合うことになると思うが、この3頭のいずれかを中心視するのが馬券の筋ということになるか。
ただ、他の有力どころも負けてはいない。サンリヴァル、ジャンダルムのホープフルS組がその最たる存在と言ってよく、虎視眈々と逆転の機をうかがっているはずだ。
それだけに少頭数でありながら、馬券的にはけっこう難解な一戦と言っていいかもしれない。
それでも穴党としては有力どころを推奨するわけにはいかない。期待を寄せたいのは、リビーリング。前記した5頭には実績で見劣りするが、能力的にヒケを取らないと見たからだ。
前走のセントポーリア賞は2着に敗れたが、新馬を勝ち上がったばかりだったことを思うと、決して悪い内容ではなかった。この中間は実に順調で、1週前の追い切りもリズミカルだった。とにかく有力どころは休み明け。年明けに使われていることは強みで、さらに良化していることも明らかだ。
皐月賞2着、ダービー3着のシックスセンス(京都記念勝ち)が近親にいて、血統もいい。レースセンスもあり、良馬場条件に食い込む余地は十分にある。
チューリップ賞も出走頭数は意外なほど少ない。2歳女王ラッキーライラック、同レース僅差2着リリーノーブルを恐れてのことだろうか。
しかし、この2頭はすでに桜花賞の出走権を得ており、まだ多少、余裕残しの状態に映る。こちらのレースもつけいるスキはありそうだ。
期待したいのはカレンシリエージョだ。まだ1勝馬だが、秘めた素質は、かなりのもの。昨夏、函館での未勝利戦は重馬場の中、2番手から楽々と抜け出し、2着馬に8馬身差をつける圧勝劇を演じて見せた。
年明けの福寿草特別は8着に敗れたが、1週前の追い切りは軽快でリズミカル。ひと叩きされ、さらに状態がよくなっていることは明らかだ。晴雨にかかわらず一発があっていい。