舛添 完全にワクチンは出遅れちゃってるよね。そもそも菅が間違ってるのは、西村(康稔)を連れてきちゃったことなんですよ。それに加えて、ワクチン大臣が河野(太郎)でしょ。さらに、厚労大臣には田村(憲久)がいる。いったい誰がワクチンのこと、やってるの。感染症対策の基本は、権限の一点集中なんですよ。権限を分散させてはいけない。そもそもの担当は厚労省なわけだから、厚労大臣に任せないとダメなんです。菅は厚労大臣にきちっと指示を出して、対策をさせることができていない。それはなぜかというと、安倍政権が官邸主導政治をやりすぎたから。すると各大臣の役割がない。さらに安倍は優秀な官僚を全員飛ばしたから、今の厚労省には残りカスしかいないんですよ。
──そこまで言いますか‥‥。
舛添 ワクチン対策を3人の大臣で切り盛りしている国なんてないですよ。それこそ、船頭多くして船山に上る、になってしまう。厚労省の官僚にいきなり河野が命令したら、どうなりますか。「なんでコイツの言うことを聞かないといけないのか」と思いますよね。厳密に言えば、自衛隊が動かしている大規模接種センターは、岸信夫防衛大臣が担当でしょう。西村、河野、田村の3バカトリオに岸を入れて4人の大臣をもってしても結局、ワクチンが滞ってるでしょ。まぁ、西村を連れてきたのは、本当は安倍なんだけどね。
宮崎 経済再生担当大臣の西村さんが、どうしてワクチンに関係してきたんですかね。僕もそこはずっと疑問だったんです。
舛添 西村を連れてきた安倍なんて、もっとアホなんです。それも不純な理由だから。昨年、新型コロナが流行し始めた当時、札幌市が目立っていたことがあったでしょう。あの時は鈴木知事が緊急事態宣言という対応を取り、メディアや国民からも人気があって、安倍は「これだ!」と感じたんでしょう。北海道と同じことをしたいということで、国も緊急事態宣言を提案したんですよね。そこにきておバカな役人が「新型インフル特措法ではそんなことやれませんよ」と反論したもんだから、西村が呼ばれたわけ。西村をコロナ担当にしたのも、国会答弁が加藤(勝信)よりマトモだっていう理由だけだったっていうんだよ。もうアホでしょ。それがうまくいかなくて、ワクチンだけに特化させたのが河野ですよ。
宮崎 そんな内情が‥‥。でも結局、ワクチンが足りないということになっていますね。あんなに「数はあります!」って河野大臣もテレビに出まくっていたのに。
舛添要一:国際政治学者。参院議員を2期務め、安倍・福田・麻生政権で厚労大臣。その後、東京都知事となり、16年に辞職。現在、舛添政治経済研究所所長
宮崎謙介:早稲田大学を卒業後、日本生命などを経て、12年に国会議員に。16年に辞職し、現在は経営コンサルタントの他、テレビ番組のコメンテイターなどで活躍。「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)を刊行したばかり